研究課題/領域番号 |
23540576
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
前原 常弘 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40274302)
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研究分担者 |
川嶋 文人 愛媛大学, 農学部, 寄附講座教員(寄付講座准教授) (60346690)
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キーワード | 超臨界 / アルゴン / プラズマジェット |
研究概要 |
申請者らはプラズマならびに超臨界流体に関する技術を融合した全く新しいプラズマプロセスの基礎研究を提案してきた。その結果、炭素被覆酸化タングステンナノワイヤーといった複合材料を得ることに成功している。 しかしながら、上述の研究では電極をスパッタする方式を取っており、この場合は材料合成に限界がある。加えて、よく知られるように、二酸化炭素は希ガスに比べ、プラズマの発生が困難である。そこで、希ガス、中でも安価なArの超臨界中でのプラズマ発生を検討するに至った。さらに、原料を流すことで、安定的な放電の維持と材料合成を可能となるよう試みている。 初年度は研究の基礎を固めることに主目的を置いた。まず、分光器の整備を行った。その結果、C2スワンバンドの計測を行い、4000K程度の温度を有することが明らかとなった。 予備実験では「超臨界熱プラズマジェット」に有機銅を投入することで、銅のナノワイヤを得ている。そこで、基礎を固めるために超臨界アルゴンへの有機金属の溶解度を確認した。しかしながら、溶解は確認できず、銅のナノワイヤ生成時には、プラズマに何らかの方法で注入されていることがわかった。 そこで、H.24年度はシラン系化合物を投入することで、Si系ナノ材料の作成に取り組んだ。これはテトラメチルシラン(TMS)を熱プラズマジェットへと投入する際に、生成できる化合物を確認した。大気圧では生成物は確認できず、3,5,7気圧と圧力が増加するにしたがって、黒色の生成物が増加した。これらの物質は未反応物を多く含んでおり、解析に不適であった。そこで、生成物を700℃で二時間焼成した後、フーリエ変換赤外分光計(FT-IR)で分析した。4,5MPaではSiCの合成効率は変わらず、生成量のみ違いが出た。一方7MPaでは,他の圧力下に比べSiCの合成効率が上がることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H.23年度に、「電極の最適化」「有機金属の溶解度」「分光器の最適化」を行い、さらに分光計測を行った、H.24年度には、有機金属の溶解が確認できなかったため、シラン系化合物を投入し、SiCの生成に成功した。これらはフーリエ変換赤外分光計で分析され、材料合成を順調に進めている。概ね予定通りといえる。
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今後の研究の推進方策 |
生成物を焼成した後、フーリエ変換赤外分光計で解析し、それらの結果からSiCの他、SiO2の生成が見られた。これらは未反応のテトラメチルシランが焼成時に酸化されていることを示唆している。これはテトラメチルシランの過剰投入に起因するものと思われ、投入量の制御が課題である。投入量を制御してSiCの生成に取り組むほか、生成物の解析をラマン分光や透過型電子顕微鏡などを用いて行う
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次年度の研究費の使用計画 |
高圧関係消耗品、試薬類、ガスの購入を行う。
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