初年度は研究の基礎を固めることに主目的を置いた。まず、分光器の整備を行った。その結果、C2スワンバンドの計測を行い、4000K程度の温度を有することが明らかとなった。予備実験では「超臨界熱プラズマジェット」に有機銅を投入することで、銅のナノワイヤを得ている。そこで、基礎を固めるために超臨界アルゴンへの有機金属の溶解度を確認した。しかしながら、溶解は確認できず、銅のナノワイヤ生成時には、プラズマに何らかの方法で注入されていることがわかった。 そこで、シラン系化合物を投入することで、Si系ナノ材料の作成に取り組んだ。これはテトラメチルシラン(TMS)を熱プラズマジェットへと投入する際に、生成できる化合物を確認した。大気圧では生成物は確認できず、3,5,7気圧と圧力が増加するにしたがって、黒色の生成物が増加した。これらの物質は未反応物を多く含んでおり、解析に不適であった。そこで、生成物を700℃で二時間焼成した後、フーリエ変換赤外分光計(FT-IR)で分析した。4,5MPaではSiCの合成効率は変わらず、生成量のみ違いが出た。一方7MPaでは,他の圧力下に比べSiCの合成効率が上がることが明らかとなった。 H25年度には新たに冷却CCDを入手し、1m級ツェルニー・ターナー型分光器に取り付けた。これにより従来困難であった弱い線スペクトルの計測が可能となった。 超臨界プラズマジェットに関して、Arの線スペクトルから励起温度を求め、励起温度が圧とともに減少することを明らかにした。本結果はこれまでに求めた分子温度と逆の傾向を示しており、化学反応の促進に対し、ネガティブに作用することが明らかとなった。 また、材料開発の観点から、超臨界にこだわらず、水中のプラズマジェットの開発も押し進め、これらの基本的な性質を明らかにし、金ナノ材料を生成し得ることを明らかにした。
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