研究課題/領域番号 |
23540577
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
大津 康徳 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50233169)
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キーワード | ハイブリッドリングホロー放電 / 2次電子放出係数 / ガンマ作用 / 容量結合プラズマ / 粒子シミュレーション |
研究概要 |
平成24年度では、平成23年度で得られた研究成果を基に、以下のような研究を実施した。(1)平成23年度に製作した2次電子係数の高い酸化マグネシウム薄膜を塗布したリングホロー電極を用いて、プラズマパラメータを計測し、前年度の値を超えることができるかどうかを検証した。高周波電力20-50Wをリング状ホロー電極と接地された容器間に注入することにより、プラズマを生成させた。プラズマパラメータのガス圧力依存性や、それらの空間分布をプローブ(自作)を用いて計測を行った。以下の研究成果が得られた。(1-1)ガス依存性の場合、50-400mTorrの範囲で、MgO薄膜なしの電極に比べて、MgO薄膜ありの電極の方が、プラズマ密度が向上することが明らかとなった。この成果は、MgO薄膜の2次電子放出係数が高いことに起因する。あるガス圧において、プラズマ密度が最大になることもわかった。(1-2)プラズマ密度空間分布では、リング溝位置で最大値をとるM型分布となった。また、電極から離れると、その半径方向分布が均一になった。これは、理論的に考察した結果、拡散による移動が電界ドリフトによるそれより、支配的であることが明らかとなった。(2)リングホロー溝を多重化させることにより、高密度プラズマの均一化を検討した。(2-1)粒子数値シミュレーションにより、リング溝数を1重から4重に変化させたときのプラズマ均一性評価を行った結果、リング溝数を増加させることにより、電極近傍での均一性が向上することが明らかとなった。(2-2)プラズマ密度の空間分布を計測した。電極からは離れるにしたがって、プラズマ密度は均一化することが確認できた。即ち、シミュレーション結果と定性的に一致する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MgO薄膜を堆積したリング状ホロー電極を用いて、提案しているハイブリッドリング状ホロー放電を実現できた。さらに、その証拠となるプラズマ密度の向上が達成できた。さらに、プラズマ密度の均一性を改善するために、リング溝を多重化することにより、電極近傍で、より均一化が実現できることが、シミュレーションと実験により確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
ハイブリッドリング状ホロー放電を達成できた。また、リング溝を多重化することにより、均一性もある程度、実現することができた。今後は、プラズマの空間分布をさらに一様化させることが課題である。平成24年度の成果では、リング状ホロー放電電極から離れるにしたがって、一様に近づく傾向は実験により確認された。しかし、より電極近傍で、一様化を進めることが重要である。そこで、リング状ホローの個数の検討や、他の改良を行うことで、電極近傍で、より一様性を達成させることを検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策を達成するために、主に、電極材料、ガス、装置部品、高周波部品などの消耗品や、本研究の改良に伴う機器物品(真空排気装置、計測器など)などを購入することを計画している。さらに、研究成果発表(電気学会、応用物理学会、国際学会AEPSE2013など)や調査研究のための旅費などを計画している。
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