研究課題/領域番号 |
23540581
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
中村 圭二 中部大学, 工学部, 教授 (20227888)
|
キーワード | 電子密度 |
研究概要 |
超LSIなどの電子デバイスでは大容畳化などの要求が強く、0.1ミクロン以下の超微細加工などに関連した技術開発が盛んに進められている。量産レベルで所望の特性を得るにはプラズマを常に一定の状態に保つ綿密な制御が必要であり、それに対応できる高感度なプラズマモニタリング法の開発が進められている。特に電子は、ラジカルやイオンなどのプロセスに不可欠な粒子を生成する上で主要な役割を果たすため、電子状態のモニタリング技術が重要である。 そのような背景のもと、電子の状態として、電子密度と電子温度に着目し、それらのモニタが可能と考えられるマイクロ波共振器プローブを採用し、電磁界解析等により共振スペクトルを得ながら、高圧力プラズマでの共振特性を検討した。今年度は特に、密度測定における高精度化に着目した研究を中心に行った。その結果、測定精度向上のためには、プラズマが生成されていないときの共振幅を考慮して差し引いたり、プローブ材料として導電率が低くかつその温度依存性が小さな銅などの材料を選定することが有効であることを明らかにした。また大気圧マイクロ波プラズマに本プローブを適用したところ、共振スペクトルの幅が広がることを確認でき、本研究で得たシミュレーション結果の妥当性が確かめられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気圧マイクロ波プラズマをプローブに曝したときに共振幅が広がることを実験的に確認できたことから、シミュレーションを用いて本研究で得られていた内容が妥当であること示唆され、測定法の確立に向けて大きく前進したと考えられる。また電磁界シミュレーションによって測定精度の観点から有効な技術のいくつかを明らかにできた点で、実際のプラズマに曝した状況を想定した内容の情報が得られ、工学的にも有用な成果が得られた。一方、それらの測定精度に関して実験的な検証が不十分なので、それが平成25年度の課題と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
・プローブの測定結果の信頼性を検証するために、発光分光法などの他の方法との比較や、シミュレーション結果との比較を通じて、絶対密度の精度などの検証を行う。 ・プラズマに曝しながら、温度などプローブ自体の状態をモニタし、プラズマ環境で生じるプローブの状態変化と、それが測定結果及ぼす影響を調べる。 ・上記の内容を踏まえて、精度よく安定に測定するためのプローブ材料を検討する。 ・マイクロ波プラズマ以外の大気圧プラズマとして、誘電体バリア放電への適用も試みる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
・高圧力プラズマを生成するために必要な放電ガス等の消耗品やプラズマ容器における保守部品の購入に使用する。 ・プラズマに曝して材料プロセスに近い状況を作るための各種材料の購入に使用する。 ・電磁界解析を次年度も引き続き行うと同時に、プラズマまで含めたシミュレーションも行うため、ソフトウェアの保守のために使用する。 ・平成24年度の研究を効率よく進められだ結果、消耗品等の支出が予定より少額となった。このため平成24年度に予定していた物品の購入は、平成25年度研究計画の予算と合わせて行うこととした。
|