研究概要 |
外径0.6-0.9mmの注射針電極に6-8kV、繰返し周期:1msのパルス正高電圧を印加し、ガス(O2, N2/O2, He/O2, Ar/O2)を導入して注射針電極-GND間で生成する大気圧μプラズマガスを多孔質セラミックス微細気泡発生器でバブル化して水処理する手法を、インジゴカルミン水溶液の脱色、環境汚水中の大腸菌群の不活化、酸化グラファイト(GO)合成に関して調べた。空気放電でのオゾン濃度は18ppm以下であり、オゾン生成効率は非常に低いが、発光分光分析でO, N, NO, OHラジカルからの多数の発光線を確認した。 (1) O2/(O2+N2)比率が0.6~0.7で脱色時間に約10倍の差異が生じ、0.7以上では活性酸素種による急激な脱色、0.6以下では溶液のpHが弱酸性になると同時に緩慢な脱色へと移行した。溶存オゾン、H2O2濃度は0.25、0.10mg/L以下であり、比率0.6以下における脱色過程はプラズマガスから溶液に導入された亜硝酸イオンがニトロソ化合物を生成する事で進行すると結論付けた。また、HPLC分析より、インジゴカルミンが4~5のフラグメントに分解されているのを確認した。 (2) O2流量の増加で染料水の脱色時間が急激に短縮された。また、プラズマ源-気泡発生部距離が1-5mでは脱色時間は一定値、1m以下では距離と脱色時間は正の相関を示した。これは、オゾン以外の活性酸素種O(1d)、O2(a1Δg)が失活せずに染料水の脱色に寄与た事を示唆している。 (3) ESR測定やテレフタル酸溶液を用いた化学プローブ法から、O2プラズマバブリングでは溶液中にヒドロキシラジカルOHが生成していることを明らかにした。他方、空気プラズマの場合にはOH生成は確認されなかった。 (4) O2流量が1から3mL/分の増加で大腸菌群の不活化効率は向上した。XRDからGO生成を確認した。
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