分子アセンブリは複数の要素を統合した機能性分子であり、本研究課題のテーマである蛍光モジュレーション機能を有する光スイッチやそれとの連結が可能な分子回転モーターはその典型的な例である。本研究課題では、高精度の非経験的分子軌道計算により、次の2点の理論的考察を行った。その一つは、光スイッチとしての実験的報告が多いジアリールエテン類の光化学的過程に関するものであり、閉環体と開環体の量子収率の偏性や2光子励起による直接的な円錐交差領域への到達などに対する合理的解釈を与えた。もう一つは、エチレノイド系分子の光異性化反応を利用した光駆動型分子回転モーターに関するもので、新たな設計指針の提案を行った。
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