研究課題/領域番号 |
23550012
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
勝木 明夫 信州大学, 全学教育機構, 准教授 (70283223)
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キーワード | 磁場効果 / 磁気配向 / 超伝導磁石 |
研究概要 |
ナノチューブは磁化率異方性を持つため,磁場による配向が可能である.また,通常の重力条件では基板無しで薄膜を作成することは困難であるが,磁場下では微小重力条件ができるため,基板無しで薄膜を作成することができる.本研究では,連携研究者との協力で 磁場下で微小重力と磁場配向との相乗効果を利用して種々のナノチューブを任意の角度に配向させた薄膜の作成を試みた. 予備実験段階で作成した薄膜について,研究会および投稿論文でポリビニルアルコール(PVA)水溶液の乾燥による収縮の影響を指摘されたため,さらに作成条件の検討を行った.マルチウォールカーボンナノチューブ(直径約80 nm,長さ10-20 マイクロメーター,鉄残量20ppm以下)を種々の濃度のPVA水溶液に分散させた.銅製の針金で作成したリングを基板の代わりとし,試料溶液をリングに対して垂直方向に磁場を印加させ,高さ方向は微小重力点になる条件下で自然乾燥させた.温度および湿度の影響もあるため,恒温恒湿条件になるようにセットアップを行った.得られた薄膜をXRDおよびAFMで評価した.収縮後の薄膜についてもカーボンナノチューブは磁場印加方向に対してほぼ平行に配向していることがわかった.さらに,リングと磁場印加方向の角度を変えて,ナノチューブを任意の角度に配向させた薄膜についても確認を行った.これらの薄膜についてもカーボンナノチューブは磁場印加方向に対してほぼ平行に配向していることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁場による微小重力条件下でナノチューブがPVAの収縮にもそれほど乱れずに配向していることがわかった.任意の方向にカーボンナノチューブが配向した薄膜についても同様の結果が得られ,概ね良好な結果が得られている.その場観測は進行中である.また,配向度の解析方向の検討も進行中である.
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今後の研究の推進方策 |
磁場による微小重力と磁場配向との相乗効果を利用して,ナノチューブを任意の角度に配向させたを検討する.配向度,キラリティ等の測定評価ができる程度の均一な膜厚の薄膜の作成条件を検討する.そして,AFM観測および配向度の評価を行う.また,紫外可視分光光度計を用いた偏光吸収測定等の方法でも評価を行う.さらに他のナノマテリアルを用いた薄膜の作成条件の検討を行う.このときは複屈折測定による評価を試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬類で当初計画で見込んだよりも安価に研究が完了したため,次年度使用額が生じた. カーボンナノチューブだけではなく,DNA等の生体系ナノマテリアル等の使用のために超純水製造装置の購入を検討していたが,超純水の使用量との兼ね合いから,超純水を購入する方針に切り替える.この方法でも研究の進行に支障はない.これらの分をその場観測を行うための光学部品(光検出器,光ファイバー等),カーボンナノチューブだけではなく,DNA等のナノマテリアル等の試薬類の購入にあて,研究を進める.また,他のナノマテリアルの配向評価方法として複屈折測定を行うため,紫外可視光用の偏光板,偏光板ホルダー,光学レール等の光学部品の購入し,測定システムの構築にあてる.
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