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2013 年度 実績報告書

自由エネルギー面上における酵素反応メカニズムの新しい解析手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23550021
研究機関大阪府立大学

研究代表者

麻田 俊雄  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10285314)

キーワード自由エネルギー勾配法 / 反応経路最適化 / Charge Response Kernel / 原子分極 / 凝縮系 / QM/MM法 / 分子動力学シミュレーション / プログラム開発
研究概要

研究の目的は自由エネルギー面上の酵素反応のメカニズムを解析する手法を提案することであった。目的のために必要となる自由エネルギー面上の構造変位のための自由エネルギー勾配法は期間の前半にプログラムに並列版として実装することに成功した。さらに二年目には自由エネルギー勾配を用いた分子動力学シミュレーションを実施することが可能であることをアラニンジペプチド分子について示すことに成功した。しかしながら、化学反応を得るための自由エネルギー面上の反応経路最適化シミュレーションに多大の計算時間を要し、当初に計画した計算時間内に酵素反応の解析を完了することは長周期ゆらぎもあり困難となった。そこで、以後の研究へ展開するため高速化の手法に着手し最終年度に開発に成功した。
幸い自由エネルギー勾配法では電荷応答核を作成することで計算の高速化が可能である。そこで、反応中心にかかる外場の静電ポテンシャルに加えて電場を求め、もっとも計算時間がかかる部分を近似計算することで同等の計算精度を得ることができ、大幅な時間短縮につなげることが可能であることを確認した。近似計算の定式化と検証を最終年度に実施した。
最終年度に定式化した結果は以下の特徴をもつ。環境として存在する周辺分子は反応中心に静電ポテンシャルと電場を生じる。この静電ポテンシャルの変化は分子内の電荷移動に大きく寄与し、電場の変化は分子内の電荷移動のほかに反応中心の原子上に誘起双極子を生じる。これらを分割して定式化した結果、計算時間が最も必要であった量子化が計算を省略しても、環境の変化に対するエネルギー変化に加えて、原子にかかる力もシミュレーションの最中にわたり再現できることを確認した。この研究成果は、酵素反応のメカニズムの解析を実用可能にする。近々に、いくつかの酵素系に適用し、メカニズムを解明する計画につなげている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Spin-Orbit Coupling Analyses of the Geometrical Effects on Phosphorescence in Ir(ppy)3 and Its Derivatives2013

    • 著者名/発表者名
      S.Koseki, N.Kamata, T.Asada, S.Yagi, H.Nakazumi, and T.Matsushita
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry C

      巻: 117 ページ: 5314-5327

    • DOI

      10.1021/jp312032s

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Theoretical Investigation of the Reaction Mechanism of ClONO2 + HCl → HNO3 + Cl2 on (H2O)n (n = 0-3) Cluster2013

    • 著者名/発表者名
      T.Asada, T.Okajima, and S.Koseki
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry A

      巻: 117 ページ: 7928-7938

    • DOI

      10.1021/jp406175j

    • 査読あり
  • [学会発表] Efficient algorithm to optimize structures and reaction paths on free energy surface using QM/MM MD simulation2013

    • 著者名/発表者名
      Toshio Asada
    • 学会等名
      5th JCS International Symposium on Theoretical Chemistry
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      20131202-20131206
    • 招待講演
  • [学会発表] QM/MM 法を用いた自由エネルギー安定構造の探索法2013

    • 著者名/発表者名
      麻田俊雄
    • 学会等名
      第7回分子科学討論会2013
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130924-20130927
  • [学会発表] シロール分子のアモルファス相中における電子移動度の理論的解析2013

    • 著者名/発表者名
      前田昂太郎,麻田俊雄,小関史朗
    • 学会等名
      第7回分子科学討論会2013
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130924-20130927
  • [学会発表] 白金錯体における燐光過程の理論的再検討2013

    • 著者名/発表者名
      小関史朗,麻田俊雄,松下武司
    • 学会等名
      第7回分子科学討論会2013
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130924-20130927
  • [学会発表] 除草剤;光科学系IIの電子伝達阻害剤の機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      田中絢子、硯智史、麻田俊雄、川上恵典、梅名泰史、沈建仁、宮原郁子、神谷信夫
    • 学会等名
      第13回日本蛋白質科学会
    • 発表場所
      鳥取
    • 年月日
      20130612-20130614
  • [学会発表] OLEDに用いられ白金錯体の燐光過程に関する理論的研究2013

    • 著者名/発表者名
      小関史朗、鍵田侑希、麻田俊雄
    • 学会等名
      第16回理論化学討論会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20130515-20130517

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公開日: 2015-05-28  

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