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2013 年度 実績報告書

モンテカルロ計算とNMR計測による脂質ベシクル表面の分子の制限拡散

研究課題

研究課題/領域番号 23550027
研究機関名古屋大学

研究代表者

吉井 範行  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70371599)

キーワード分子シミュレーション / ベシクル / 物理化学
研究概要

ベシクルという球面上に運動が拘束された分子の制限拡散運動をパルス磁場勾配(PFG) NMR測定を用いて観測することにより、ベシクル表面上での脂質分子の側方拡散係数を明らかにした。測定された拡散係数は脂質分子のベシクル上での側方拡散係数に加えて、ベシクル自体の並進、回転拡散係数が混入している。それらを分離するための理論を構築した。
また、ベシクルに対する薬物の結合・解離運動とベシクル表面上における薬物の側方拡散運動についての知見を得るために、PFG NMRおよび1D-NMRを用いてin situでの測定を行った。対象分子は実際に生理活性を有するビス・フェノールA(BPA)およびL-エンケファリンである。これにより、膜やバルクの水中での薬物の拡散係数を得るとともに、結合・解離の速度論を明らかにした。親水性のL-エンケファリンに比べて疎水性のBPAの方が高速で結合解離を繰り返している様子が明らかとなった。
さらにベシクル上の脂質分子やベシクルとの結合・解離を繰り返す薬物の運動を再現する新規のMC計算の手法を開発した。
(1)膜透過によりベシクルと結合・解離を繰り返す薬物の運動の解析については、薬物として抗がん剤5FUを用いて、(1A)ベシクルと結合・解離を繰り返す5FUの物理モデルの構築、(1B)結合・解離過程のMC計算アルゴリズムの開発、および(1C)分子の軌跡を用いたNMRシグナルの予測を行った。つづいて(2)ベシクル表面上を側方拡散する脂質分子の運動の解析においては、ベシクル表面に拘束されている脂質分子について、NMRシグナルを予測するシミュレーションの手法を構築した。ベシクルの運動を考慮した上で、ベシクル表面に拘束された脂質分子の真の側方拡散係数を明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Lateral diffusion of lipids separated from rotational and translational diffusion of a fluid Large unilamellar vesicle2013

    • 著者名/発表者名
      N. Yoshii, T. Emoto, E. Okamura
    • 雑誌名

      Colloid Surf. B-Biointerfaces

      巻: 106 ページ: 22-27

    • DOI

      10.1016/j.colsurfb.2013.01.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MODYLAS: A highly parallelized general-purpose molecular dynamics simulation program for large-scale systems with long-range forces calculated by fast multipole method (FMM) and highly scalable fine-grained new parallel processing algorithms2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Andoh, N. Yoshii, et al
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Theory and Computation

      巻: 9 ページ: 3201-3209

    • DOI

      10.1021/ct400203a

    • 査読あり
  • [学会発表] 次世代スパコンを用いた大規模分子動力学計算による蛋白質科学2013

    • 著者名/発表者名
      吉井範行
    • 学会等名
      第13回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      鳥取
    • 年月日
      2013-06-12
    • 招待講演
  • [学会発表] 8. 超並列スパコンを用いた分子動力学計算による巨大系シミュレーションへの挑戦

    • 著者名/発表者名
      吉井範行
    • 学会等名
      金沢大学理学談話会
    • 発表場所
      石川
    • 招待講演
  • [学会発表] 9. 分子動力学計算に基づく両親媒性分子集合体の安定性評価―ミセル,脂質膜,ウイルス

    • 著者名/発表者名
      吉井範行
    • 学会等名
      金沢大学第6回凝縮系理論セミナー
    • 発表場所
      石川
    • 招待講演
  • [学会発表] SDSの会合体間相互作用および会合機構に関する分子動力学計算による研究

    • 著者名/発表者名
      河田 真治、藤本 和士、吉井 範行、岡崎 進
    • 学会等名
      第17回理論化学討論会
    • 発表場所
      愛知

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公開日: 2015-05-28  

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