研究課題/領域番号 |
23550046
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
樋口 弘行 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (00165094)
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研究分担者 |
林 直人 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (90281104)
吉野 惇郎 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 助教 (70553353)
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キーワード | ポルフィリン / 電子構造 / 外部刺激 / 可逆システム / ジアセチレン / スペクトル / 酸 / センサー |
研究概要 |
近代文明社会生活を根底で支える基本材料には,省エネ・省資源を念頭に置いた高感度素子が必須と言われる。中でも光や熱や酸などの微弱な外部刺激に対して電子構造が変化し、これに連動する大きなスペクトル変化を誘起しやすい有機分子は機能性素子材料における実質的な主役である。 当該研究3年間の前半の23年度及び24年度では、申請者ら独自のシステムであるジアセチレン架橋拡張共役系ポルフィリン誘導体について、新たに6種類の化合物を合成し,それらの基本物性情報を収集した。次いで,それらのポルフィリン誘導体への酸添加実験により,ポルフィリン環特有の可視領域の Soret-吸収帯と入れ代わるように一層の長波長領域に新たな吸収帯を与えること,また逆にアミン類を用いた中和反応により元のスペクトルをほぼ完全に再現することを観察した。すなわち,本システムは安定な可逆系として一般化できることを確認した。 最終年度の25年度では,その可視領域の吸収帯をプロトンや金属イオンを引き金とする弱い外部刺激により近赤外(低エネルギー)領域にシフトさせること、また,それら両吸収帯を持続的(副反応を伴わず)に可逆的変換できる制御手法を確立し一層の高感度化を図ることであった。前年度までの成果に基づいて,新たに6種のポルフィリン誘導体を設計し,プロトンや金属イオンの受容成分を種々検討した。また,熱力学的には安定ではあるが稼動性の高い(共鳴エネルギーが小さい)スペーサー成分についても精査した結果,Soret-吸収帯の著しい分裂現象と長波長シフト化現象を観察した。さらに,Q-吸収帯についても,感度向上のための吸収強度増強のための構造要素を導き出すこともできた。 3年間の当該研究において得られた成果(投稿中および準備中)に基づいて一層発展させるべく,本システムの実用化を指向した新たな基盤研究を26年度から開始することになった。
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