研究課題/領域番号 |
23550047
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
前多 肇 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (40295720)
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研究分担者 |
千木 昌人 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90135046)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | スイッチ分子 / 蛍光 / 蛍光センサー / ピレン / ピレノファン / クラウンエーテル / 金属イオン / 錯形成能 |
研究概要 |
強い蛍光を発するスイッチ分子の設計と合成を目的として研究を行い、以下の知見を得た。(1)酸素、硫黄、セレンで架橋された[3.3](1,3)ピレノファン類を合成し、その立体配座に基づく蛍光特性の変化について検討した。温度可変1H NMR、温度可変蛍光スペクトルの測定と、分子軌道計算を行った結果、ピレン環が重なった形のシン体と、逆方向を向いたアンチ体が、それぞれエネルギーの極小値として存在しており、分子内エキシマー発光とモノマー発光を発する化学種にそれぞれが対応していることを明らかにした。シン体とアンチ体の比は溶媒の極性と温度によって制御可能であり、溶媒の極性が高く高温であるほど分子内エキシマー発光の割合が増加した。また、シン体とアンチ体の異性化における活性化エネルギーは、結合鎖が酸素>硫黄>セレンの順に低下することが分かった。以上の結果、[3.3](1,3)ピレノファン類は、溶媒の極性や温度といった外部環境により蛍光特性が変化するスイッチング機能分子としてはたらくことを明らかにした。(2)ベンゾ-15-クラウン-5とエチニルピレンを連結させた分子を合成し、そのアセトニトリル溶液に各種金属イオンの過塩素酸塩を添加して、吸収・蛍光スペクトルの変化を調べた。その結果、Li、Na、Kイオンを加えた場合、金属イオンの当量数が上がるにつれて蛍光が短波長シフトし、蛍光強度が増大したのに対し、Rb、Csイオンの場合にはほとんど変化はなかった。また、Mgイオンを加えた場合、最も短波長シフトと蛍光強度増加の度合いが大きいことが分かった。吸収スペクトルは、これらの金属イオンを添加してもほとんど変化はなかった。以上の結果、この分子の錯形成能はMg>Na>Li>K>Rb~Csとなり、特にMgイオンを選択的に認識する高感度な蛍光センサーの開発に成功したことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、強い蛍光を発するスイッチ分子の設計と合成を目的としている。本年度の研究において、温度と溶媒の極性、金属イオンの有無により蛍光特性が変化するスイッチ分子の設計指針が得られたため、達成度としては、おおむね順調に進展している、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は光照射によって構造が変化し、それに伴って蛍光特性が可逆的に変化するスイッチ分子の開発も併せて行う。また、それぞれの系において、分子設計、構造変化および反応の可逆性、繰り返し耐久性、官能基の導入による吸収波長と蛍光波長(色)、蛍光強度の精密な最適化について詳細に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も引き続き金沢大学の学内で研究が行なわれる。有機化合物の合成、各種スペクトル、文献調査のための設備は整っているため、主に薬品やガラス器具類などの消耗品費として研究費を使用する。また、学会発表のために旅費を、研究成果を論文として投稿する際の投稿料等をその他費として計上している。
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