研究課題/領域番号 |
23550054
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
山崎 祥子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50182481)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | α,β-不飽和エステル / エテントリカルボン酸エステル / アゾジカルボン酸エステル / トリフェニルホスフィン / ジアリールアレン / 塩化スズ / ビニルケトン / インデン |
研究概要 |
単純な出発物質から複雑な分子を構築する新規反応を見出すことは、有機合成の重要な課題である。α,β-不飽和エステルのひとつであるエテントリカルボン酸エステルの高い求電子性を利用したヘテロ環合成を行った。また、構造的特徴から興味深いアレンと、関連するα,β-不飽和ケトンとのルイス酸触媒による反応を検討した。1.ピラゾリン誘導体は、生物活性的に興味ある化合物である。アゾジカルボン酸エステルとホスフィンから生成するHuisgen双性イオンとアルケンとの環化付加反応はこれまで報告されていない。本研究では、Huisgen双性イオンと活性アルケンとの環化付加反応でピラゾリン環を合成する反応を検討した。エテントリカルボン酸エステルは、求電子性の高いMichael受容体である。1,1-ジエチルエステルとアゾジカルボン酸ジエチルとトリフェニルホスフィンとの反応を検討したところ、室温終夜で、高収率で修飾ピラゾリン誘導体が得られた。さらに、2-ホスホノ、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸エステルなどとのアゾジカルボン酸エステルとトリフェニルホスフィンを用いた環化付加反応を試み、種々のピラゾリン誘導体を得た。種々のホスフィンを用いた反応も検討した。2.C-C累積二重結合を有するアレンを活用する新規合成反応の開発は、興味深い。塩化スズ触媒下のジアリールアレンとビニルケトンとの反応を検討し、共役付加―環化反応によってインデン誘導体を得ることを見出した。これらの基質は塩化スズ存在下で不安定であり、塩化スズ(1等量)存在下室温でCH2Cl2またはCHCl3溶液中、1,1-ジアリールアレンと2等量のビニルケトンを用いて50-58%の収率でインデン誘導体が得られた。インデン環生成の反応機構について、4π電子環状反応で進行していると考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α,β-不飽和エステルのひとつであるエテントリカルボン酸エステルの高い求電子性を利用する、Huisgen双性イオンとの反応を開発できた。エテントリカルボン酸エステルとの比較としてビニルケトンとアレンとの反応でインデンを合成することにも成功した。計画に従い、さらに数多くの新規なα,β-不飽和エステルおよび類似体の反応剤について、効率的反応を試み、有機合成の新手法として発展させることを行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は、実験補助者を早い時期に見つけられなかったので、その分の予算を24年度で使用し、実験の量および速度を加速する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究計画は当初の予定通り進行する。平成23年度の繰り越し分は、24年度謝金の一部に充てる計画である。当初の予定では、配属学生が実験を行う予定であったが、配属学生の数が少ないのと、本学では卒業研究に従事する時間がますます減少していることがわかってきた。計画通り研究を進めたいので、実験補助者の謝金にあてて目的を達成する予定である。
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