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2012 年度 実施状況報告書

シクロブテンカルボン酸エステルを基質とする連続メタセシス反応の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 23550060
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

高尾 賢一  慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70287481)

キーワードメタセシス / 生物活性天然物 / 全合成 / シクロブテンカルボン酸 / ブテノリド
研究概要

連続メタセシス反応は、一度の反応操作で複数の炭素-炭素結合の形成もしくは切断がおこり、より直截的に骨格変換を達成できる特長を有している。本研究では、今までに積極的に利用されることが少なかったシクロブテンカルボン酸エステルを基質に用いた新規な連続メタセシス反応の開発に主眼を置き、それに基づく生物活性天然物の全合成を目的とする。このような骨格転位を伴うγ-ブテノリドへの変換反応は既知の方法論とは異なる独創的なものであり、有機合成化学上、大いに意義のあるものと考えている。
平成23年度はシクロブテンカルボン酸エステル誘導体を基質に用いて、開環-閉環メタセシスの検討を行った。その結果、効率良くγ-ブテノリドへの変換反応が進行する条件を見出すことができた。汎用性の実証のため、置換様式の異なるいくつかのベンゼン誘導体を出発物質に用いてシクロブテンカルボン酸エステル誘導体に導き、開発した開環-閉環メタセシスを行った。いずれの基質においても、満足のいく収率でγ-ブテノリド誘導体に変換することができた。平成24年度においては、本反応を生物活性天然物クラビラクトンの全合成に応用することを考えた。クラビラクトン類はハラタケの一種であるホテイシメジの培養液より単離された天然有機化合物である。これらの化合物は上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR-TK)阻害活性を有しており、ヒトがん細胞に対し細胞増殖抑制活性を示すことが報告されている。クラビラクトンの全合成のため、多置換ベンズアルデヒド誘導体から誘導したシクロブテンカルボン酸エステル誘導体を用いて開環-閉環メタセシスを行ったところ、望むγ-ブテノリド誘導体が収率良く得られた。さらなる化学変換の検討の結果、閉環メタセシスによる10員環構築を経てクラビラクトンAのラセミ全合成を達成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度において、シクロブテンカルボン酸エステル誘導体からγ-ブテノリド誘導体へと効率良く変換する開環-閉環メタセシスの反応条件を見出すことができた。さらに、平成24年度には生物活性天然物クラビラクトンAのラセミ全合成も達成しており、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りに、開環-閉環メタセシスに続く閉環メタセシスもしくは交差メタセシスを検討し、さらなる炭素骨格構築法の開発を行う。また、ラセミ体として達成したクラビラクトンの全合成を不斉全合成に発展させる。さらに、抗真菌活性を有するゼイラニジンの全合成もあわせておこなっていく。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度において18万円ほどの未使用額が発生した。これは消耗品等の節約を行った結果である。これを次年度の使用額とさせていただくが、研究計画や研究費使用計画に大きな変更はない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] クラビラクトンDの全合成研究2012

    • 著者名/発表者名
      難波あゆみ、七宮隆樹、高尾賢一、只野金一
    • 学会等名
      第64回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
    • 発表場所
      長岡技術科学大学(長岡市)
    • 年月日
      20121201-20121202
  • [学会発表] クラビラクトン類の全合成研究2012

    • 著者名/発表者名
      七宮隆樹、難波あゆみ、高尾賢一、只野金一
    • 学会等名
      第38回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20121105-20121106

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公開日: 2014-07-24  

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