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2011 年度 実施状況報告書

希土類含有ぺロブスカイト化合物の多形構造と磁気的性質

研究課題

研究課題/領域番号 23550065
研究機関北海道大学

研究代表者

日夏 幸雄  北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70271707)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード希土類 / ぺロブスカイト / 結晶構造 / 磁気的性質
研究概要

希土類が物性の主役となったぺロブスカイト型酸化物の多形構造とその磁気的性質を調べるため、ぺロブスカイト型酸化物ABO3の物性を決定するBサイトに希土類(4f電子系)とサイズの小さな遷移金属(4d、5d電子系)を組み合わせた複合酸化物の合成に挑んだ。磁気的性質から希土類が示す物性、f-d混合電子が示す新たな物性、挙動を解明すること、希土類と遷移金属の比を変え、BO6八面体の並びに特異な積層構造を持たせ、これまでにない物性の発現と挙動解明を目的とした。 これまで物性の表舞台に出ていなかった希土類元素と、4d、5d遷移金属がペロブスカイト構造中で示す新たな性質の発見が期待でき、物質科学としての新しい展開と新機能性物質の開発をめざした。 ペロブスカイトABO3の物性の中心的役割を果たすBサイトに、確実に4f電子系希土類元素を入れるため、サイズの小さなルテニウム、オスミウム(4d、5d電子系)の遷移金属と組み合わせることで、構造的に秩序化させたペロブスカイト化合物をデザイン、系統的に新規合成し、その結晶構造を解析した。B サイトに入る金属元素の比を1:1と選ぶことにより、隣り合うBO6八面体が頂点共有した"秩序化ペロブスカイト型酸化物"の合成に成功した。合成した化合物の結晶構造をX線回折測定し、リートベルト解析から、B サイトに入った希土類元素とルテニウム、オスミウムはNaCl型に秩序配列していることがわかった。磁化率測定と相補的な関係にある比熱測定を行い、磁気転移を見出した。比熱測定データから磁気エントロピーを解析し、磁気転移温度でどの磁性イオンが秩序しているか、明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調に研究は進んでいるが、磁気秩序が見られた化合物については、中性子回折から磁気構造を決定することにしていたが、研究用原子炉(茨城県東海村の日本原子力研究開発機構に設置されている全国大学共同利用施設)が平成23年度は稼働しなかったので中性子回折実験が行えず、この点については進んでいない。

今後の研究の推進方策

初年度の結果、経験をもとに、遷移金属として、ロジウム、パラジウム(4d電子系)を選び、これと希土類元素がオーダリングした秩序化ペロブスカイト化合物A2BB'O6, A3BB'2O9等の新規合成を試みる。B元素、B'元素が構造的にオーダリングする場合、しない場合について、その原因を結晶化学の視点から考察する。その結果をもとに、Aサイトに入る元素をアルカリ土類金属(+2価)だけでなく、アルカリ金属(+1価)、Ga、Laなど+3価をとる金属元素を入れることで、Bサイトに入る金属元素の酸化状態を変えた化合物について、検討する。 平成23年度と同様、X線回折、中性子回折、磁化率、比熱等の測定を行い、合成した新規化合物の結晶構造、電子構造、磁気的性質を主とした物性を測定・解析し、d-f混合電子系の示す新しい物性の探索を行なう。 さらに、必要に応じ、メスバウア分光測定、電子スピン共鳴(ESR)測定を行い、Bサイトイオンの内部磁場、結晶電場、化学的環境に関する知見を得る。磁性イオンの局所構造、およびその磁性イオンと周りとの磁気的挙動を明らかにするためには、メスバウア分光測定は有効な研究手段であり、希土類元素については151Euを、また遷移金属については57Feを、磁性イオンサイトにドープし、局所構造に関する情報を得る。また、得られた成果を国内、国外の学会で積極的に発表する。

次年度の研究費の使用計画

研究計画に特に変更はなく、従って研究費の使用計画にも変更はない。 経費の節減によって生じた使用残については、化合物合成に使用するロジウム、パラジウムなどの高価な遷移金属またはその酸化物など、試薬購入に充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Magnetic Ordering of Divalent Europium in Double Perovskites Eu2LnTaO6 (Ln = Rare Earths)2011

    • 著者名/発表者名
      T. Misawa, Y. Doi and Y. Hinatsu
    • 雑誌名

      Journal of Solid State Chemistry

      巻: 184 ページ: 1478-1483

    • DOI

      10.1016/j.jssc.2011.04.017

    • 査読あり
  • [学会発表] Structural Transitions and Magnetic Properties of Orthorhombic Fluorite-related Compounds Ln3MO7 (Ln = Rare Earths, M = Transition Metals)2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Hinatsu, Y. Doi and M. Wakeshima
    • 学会等名
      Terrae Rarae 2011
    • 発表場所
      カールスルーエ工科大学(ドイツ)
    • 年月日
      2011, 10, 11
  • [学会発表] トリプルペロブスカイトBa3BiRu2O9における相転移と電気、磁気的性質

    • 著者名/発表者名
      福本清吾、分島亮、日夏幸雄
    • 学会等名
      日本セラミックス協会第24回秋季シンポジウム
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      平成23年9月9日
  • [学会発表] 四元系希土類複合酸化物LnM2Ge4O12(Ln = ランタノイド;M = 遷移金属)の新規合成とその結晶構造、磁気的性質

    • 著者名/発表者名
      青柳遊大、土井貴弘、日夏幸雄
    • 学会等名
      日本セラミックス協会第24回秋季シンポジウム
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      平成23年9月9日

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公開日: 2013-07-10  

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