研究課題/領域番号 |
23550068
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
會澤 宣一 富山大学, 理工学研究部, 教授 (60231099)
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研究分担者 |
堀野 良和 富山大学, 理工学研究部, 助教 (30447651)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ホスフィンスルフィド / かご型ホスフィン / 炭素―炭素カップリング / 触媒 / リサイクル |
研究概要 |
本研究では、種々の炭素鎖の長さを持つ、空孔サイズの異なるかご型ホスフィン多座配位子をテンプレート反応で合成し、これを硫黄化あるいは酸化することによって、後周期低酸化数金属および前周期金属を空孔内に貯蔵でき、反応基質に対して立体選択性を有する新規かご型錯体触媒を合成する。さらに、かご型錯体を有機ポリマーに担持させることによって、希少元素の枯渇問題に対応できる半永久的にリサイクル可能な固体高分子錯体触媒を開発する。平成23年度は、かご型ホスフィン配位子を合成するための前駆体である三脚状四座ホスフィン配位子の合成を行った。4-メトキシフェニルマグネシウムとジエチルホスファイトからビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンオキシドを合成し、1-ブロモフェニルトリフラートとのパラジウム触媒によるカップリング反応を行うことにより、相当するトリアリールホスフィンオキシドを収率良く得た。しかしながら、トリクロロシランを用いるトリアリールホスフィンオキシドの還元では目的還元体であるトリアリールホスフィンが低収率で得られる結果となった。鋭意検討の末、ヨウ化メチルと水素化アルミニウムリチウムを用いる手法により目的物を60%以上の収率で得ることができた。さらに、得られたトリアリールホスフィンのオルト位をtert-BuLiでリチオ化した後にトリクロロホスフィンと反応させることで、三脚状四座ホスフィン配位子の前駆体を得た。得られた前駆体のメトキシ基を脱保護し、得られるフェノール性水酸基のアリル化を行うことで、三脚状四座ホスフィン配位子を合成することに成功した。本手法を用いることで、グラムスケールで安定に三脚状四座ホスフィン配位子を合成することが可能になった。さらに、テンプレート反応に用いるヂチオレート架橋Pd(II)二核錯体が炭素鎖の長さを変えて合成できることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トリクロロシランを用いるトリアリールホスフィンオキシドの還元では目的還元体であるトリアリールホスフィンが低収率でしか得られなかった。ここで還元方法を模索して、やや予定が遅れた。最終的には、ヨウ化メチルと水素化アルミニウムリチウムを用いる還元手法により目的物を60%以上の収率で得ることができ、前駆体である三脚状四座ホスフィン配位子をグラムスケールで合成することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
合成方法が確立した、三脚状四座ホスフィン配位子前駆体の大量合成と同時進行で、テンプレート反応に用いるジチオラト架橋Pd(II)―Pd(II)二核錯体にの合成も進める。これによって、配位子前駆体の大量合成終了後、直ちにかご型錯体の合成に入れるようにし、前年度の遅れを取り戻す。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度配位子前駆体の合成がやや遅れたため、錯体合成に費やされる費用が減じ、次年度使用額として繰り越された。上述したように、配位子合成と錯体合成を並行して行い、遅れを取り戻す予定であるので、繰越額と今年度申請した消耗品費(配位子合成用試薬、触媒合成用金属錯体、触媒反応用有機試薬、NMR用重化溶媒、窒素ガス、封じ切り用NMR管、真空ライン用ガラス器具)を合算した金額を使用する。
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