研究課題
前年度までの成果を元に高原子価かつ求電子性のニトリド配位子をもつルテニウム錯体を基軸とすることとした。そのようなニトリドRu(VI)錯体としてジアニオン性のサレン型配位子もつ[RuN(salen)(MeOH)[PF6]とテトラアニオン性のビス(ヒドロキシベンズアミダト)ベンゼン配位子をもつ(NBu4)[RuN(hybeb)]をもちいることとした。まず、これらの錯体とイオウとの反応により、チオニトロシル(NS)錯体が得られるかどうか検討した。ルテニウムのチオニトロシル錯体は2例しかないものの、セレノニトロシル錯体よりも容易に生成すると考えた。その結果、これら2つとイオウの反応は進行しなかった。[RuN(salen)(MeOH)[PF6]はピリジンなどの配位性基質存在下では速やかにニトリドーニトリドカップリングにより、二量化することが知られている。そこで、4-(ジメチルアミノ)ピリジン存在下でニトリド錯体とイオウとの反応を検討した。[RuN(salen)(MeOH)[PF6]はイオウと反応するよりも自身の二量化が非常に速く、瞬時にオレンジ溶液は緑色溶液へと変化しRu(III)錯体[Ru(salen)(dmap)2][PF6]を与えた。一方、ジメチルアミノピリジン存在下、(NBu4)[RuN(hybeb)]とイオウをアセトニトリル/トルエン混合溶媒中で反応させると、オレンジ色が黒色へと変化した。黒茶色結晶のX線構造解析によってチオニトロシル錯体(NBu4)[Ru(NS)(hybeb)(dmap)]であることを確認した。これはルテニウムのチオニトロシル錯体として3例目の合成・構造解析例である。
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