研究課題/領域番号 |
23550085
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
前川 雅彦 近畿大学, 理工学総合研究所, 教授 (70229293)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 配位高分子 / Cu(I)錯体 / エチレン付加体 / メタラマクロサイクリック / アニオン / 分子認識 / アニオンテンプレート / X線構造解析 |
研究概要 |
エチレン下,アセトン中,[Cu(C2H4)n]NO3と4,4'-ビピリミジン(bpm)を反応させると,一次元ジグザグ鎖構造を有するCu(I)-bpm/C2H4付加体[Cu2(bpm)(C2H4)(NO3)2]n (1)が生成した。同様に[Cu(C2H4)n]ClO4あるいは[Cu(MeCN)4]BF4とbpmをエチレン下,アセトン中で反応させると,一次元はしご型構造を有する{[Cu3(bpm)2(C2H4)2](ClO4)3}n (2)および{[Cu3(bpm)2(C2H4)2](BF4)3}n (3)が生成した。錯体2および錯体3において興味深いことは2つのClO4-あるいはBF4-アニオンがはしご型構造の内部空孔内に取り込まれていることである。一方,エチレン下,メタノール中において,[Cu(MeCN)4]BF4とbpmを反応させると二次元Cu(I)-bpm/C2H4付加体{[Cu4(bpm)3(C2H4)3(MeOH)](BF4)4}n (4)が生成した。錯体4において興味深いことは3つのCu(I)イオンが3つのbpmにより橋かけされ,メタラカリックス[3]アレン構造が形成され,さらにこれらが他のCu(I)に繋げられることより,キラルな二次元シート状構造が形成し,小さなCu3コア内には1つのBF4-アニオンが,大きなCu3コアの中には3つのBF4-アニオンが取り込まれている。さらにアルゴン下,メタノール中で[Cu(MeCN)4]BF4とbpmを反応させた後,エチレンを通気し,常温で放置すると,錯体4とは異なり,その空孔内にSiF62-アニオンを取り込んだキラルな三次元Cu(I)-bpm錯体{[Cu3(bpm)3](SiF6)1.5}n (5)が生成した。これらの結果に基づき,アニオンおよび溶媒選択的に多核Cu(I)-エチレン付加体が自己集積化できることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備的実験段階にあった化合物1~5について,学術論文として投稿し掲載することができた。また目的としていた配位子合成について,収率が低いものの最終段階まで、本年度中にその合成まで,たどりつくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
配位子合成の収率を向上させると共に,錯体合成に着手し,その構造および性質などを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬,溶媒,器具などの消耗品を購入する。 また国内外での研究発表,測定,研究調査などの旅費として使用する。
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