酸化反応は、物質生産や汚染物質の分解除去など、社会の幅広い分野で活用されている。酸化反応では、物質の分子構造のある特定部位のみ反応させることが多くの場合要求されるが、酸化反応の選択性を厳密に制御することは必ずしも容易ではない。本研究では、酸化反応を促進するために用いられる触媒分子そのものに注目して、触媒分子上で生じる電子の出し入れを詳しく調べた。その結果、通常電子のやりとりに関与しているとされてきた遷移金属イオンに加えて、これまで電子のやりとりには関わらないとされてきた有機分子上でも電子のやりとりが比較的容易に生じることが明らかになった。
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