研究課題/領域番号 |
23550088
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
兼清 泰正 北見工業大学, 工学部, 准教授 (40435748)
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研究分担者 |
青木 寛 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (00392580)
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キーワード | ボロン酸 / 糖 / センサ / 色素 / 薄膜 |
研究概要 |
ボロン酸を用いた糖検出チップの変色パターンの多様化を検討した。 ガラス基板表面が撥水性ポリマーでコーティングされた印刷スライドグラスを用い、そのガラス露出部にボロン酸含有薄膜を形成させる手法により、同一基板上に複数の薄膜スポットを有する糖検出チップを作製することに成功した。各々のスポットを異なる色素で着色した後、糖検出チップを種々の濃度のフルクトース水溶液に浸漬した。一定時間経過後、各々のスポットの可視吸収スペクトルを測定することにより、糖検出チップの変色挙動を解析した。その結果、フルクトース濃度の増大にともなうアニオン性色素の膜外への脱離挙動は、色素ごとに顕著に異なることがわかった。例えば、黄色のタートラジンや橙赤色のサンセットエローはフルクトース濃度が低い領域で脱離が進行したが、青色のアシッドレッド92や橙色のブリリアントエローは低濃度で脱離せず、高濃度のフルクトース存在下で脱離が進行した。以上のような色素ごとの応答挙動の差異に基づき、フルクトース濃度に依存した多様な変色パターンが出現した。 さらに変色パターンの多様性を増大させるため、糖濃度の増大とともに無色から着色状態へと変化するメカニズムの導入を試みた。そのために、基板上の一つのスポットをカチオン基のみから構成される薄膜に置き換えて、そのスポットのみ着色せずに糖応答に用いた。その結果、フルクトースに応答してボロン酸含有する薄膜から色素が脱離して行くとともに、脱離した色素がボロン酸を含まない薄膜に再吸着されて、そのスポットが無色から着色状態へと変化していった。 以上のような多様性の豊かな変色を示す糖検出チップを用いることにより、幅広い濃度範囲で簡便かつ正確な測定が実現できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖検出チップの変色挙動の多様化を実現するため、印刷スライドグラス上に複数の薄膜を形成して、各々のスポットを異なる色素で着色する手法を編み出した。その結果、糖濃度に応じて様々な変色パターンを示す検出チップの作製に成功した。さらに、ボロン酸を含有しない薄膜を共存させることにより、従来の有色から無色への変化に加えて無色から有色への変化を実現することができた。 以上の研究成果は、従来に無い特徴的な色調変化を示す糖センサー開発のための基礎的知見となるものであり、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
糖検出チップの応答特性の更なる向上に向けて、薄膜の微細構造の精密な制御を試みる。また、ボロン酸部位の分子構造を変化させ、それが応答特性に及ぼす影響について詳細に検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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