研究課題/領域番号 |
23550094
|
研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
久保埜 公二 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00269531)
|
研究分担者 |
横井 邦彦 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30144554)
谷 敬太 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60207165)
|
キーワード | 環境分析 / 超分子化学 / 分子認識 / アニオンセンサー / 光機能材料 |
研究概要 |
本研究は、光機能性材料を検出部位とし、これに超分子部位(水素結合部位・配位結合部位)を導入したセンサーを合成し、これとリン酸イオン、過塩素酸イオンなどのターゲットアニオンとの超分子錯体による定量分析法の開発を行うものである。平成24年度は、23年度に得られた超分子型センサーと各ターゲットアニオンとの超分子錯体の合成と同定、さらにはアニオンセンサーとしての評価を重点的に行った。ここで、センサーとしてはトリフェニルアミン誘導体を中心に、この化合物と各種アニオン、並びに金属イオンとの相互作用を調べるため、吸収スペクトル並びに蛍光スペクトル測定を行った。このうちトリフェニルアミンに3つのピリジル基を導入した化合物において、各種アニオンのみを添加した溶液では吸収スペクトル並びに蛍光スペクトルの変化が見られなかったが、この化合物を配位子とする亜鉛(II)錯体において、アセトニトリル溶液中でリン酸二水素イオンを添加すると、蛍光スペクトルにおける発光強度の顕著な減少が起こることを見出した。しかし、他の配位性アニオンを添加した場合でも同様な発光強度の減少が見られたため、この亜鉛(II)錯体では選択性が低いことが分かった。そこで、このトリフェニルアミン誘導体とβ‐ジケトン性配位子との混合配位子型の亜鉛(II)錯体を溶液内で合成し、これに各種アニオンを加えたところ、リン酸二水素イオンに対して発光極大波長の長波長シフトを伴うことを見出した。この現象は、亜鉛(II)錯体とリン酸二水素イオンとの間で特異的な超分子を形成しているものと考えることができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに、平成23年度に得られた超分子センサーとターゲットアニオンとの超分子錯体を合成し,その生成確認とアニオンセンサーとしての評価を行うことができたため、おおむね順調に進展しているといえる
|
今後の研究の推進方策 |
計画に従い、平成24年度において良好な結果が得られた超分子錯体を用いて,ターゲットとなるアニオンの微量定量法の構築を行う。なお、得られた結果をセンサーの設計にフィードバックすることで、より高性能な超分子型センサーの設計・合成とそれらを用いたアニオン微量定量法の構築を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は研究費を、合成用試薬・溶媒などの物品費、学会発表のための旅費、データ整理に対する謝金などに使用する予定である。なお、平成24年度の繰越金402,041円は、スペクトル測定用の溶媒やセルの購入を次年度に行うこととしたことによる。
|