研究課題
糖鎖は糖転移酵素群の高い基質特異性によって生合成される。本研究は、糖転移酵素による特異性の高い糖転移反応の逆反応に基づいた構造特異的分解を検討すること、またこのような逆反応を糖鎖構造の決定に利用することが目的である。糖タンパク質のアスパラギン結合型(N型糖鎖)のコア構造の形成に関与するα1,6フコース転移酵素(FUT8)によって触媒される反応をモデルとして研究を行なってきた。逆反応によるフコース残基除去はすでに確認出来ており、この可逆的反応の平衡をどのようにコントロールし効率よく単糖除去を行うかを検討してきた。平衡をシフトさせるため生成物を系から取り除くため、前年度までは大腸菌の加水分解酵素によるGDP-フコースの分解とさらにフコースの還元を組み合わせた反応を共役させた反応系を検討してきた。これらの反応系を加えることで確かに糖転移酵素反応の逆反応が促進されることは観察されたが、平衡の大きなシフトあるいはそれによる反応効率の増加までには至らなかった。これについてはなお条件の検討が必要であるが、その一方で別の分解系を用いた検討も並行して開始した。大腸菌yffH、GDP-mannoseをGMPとマンノース1リン酸に分解する酵素であるが、これを発現させGDP-fucose分解する反応系を共役させた場合の効果を検討しているところである。この酵素は先に検討した系に比べて分子活性が約200倍であり、より効率よく平衡をシフトさせる、あるいは逆反応と共役することによってフコース除去の効率を上げることが期待される。
すべて 2013
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