研究概要 |
(R)-2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフタレン-5,5’-ジカルボン酸と硝酸銅をDMF中加熱することにより得られる(R)-MOF-1を触媒に用いて、30%過酸化水素水存在下各種のスルフィド類を酸化すると、相当する光学活性スルホキシドが官能基選択的かつ不斉選択的に生成することを見出した。たとえば、アルキルフェニルスルフィドの酸化反応では、それぞれ対応するスルホキシドが光学純度16-56%eeで得られた。ビニルフェニルスルフィドの反応はメチルフェニルスルフィドよりも高い不斉選択性を示した。メチルベンジルスルフィドの酸化反応において最も高い不斉選択性(82%ee)が得られた。また、アルキルメチルスルフィドの不斉酸化反応も効率よく進行し、相当するアルキルメチルスルホキシドが59-76%eeで得られることが分かった。また、本反応においてはスルホンの生成は認められず、高い官能基選択性を示すことが明らかとなった。 一方、キラル細孔構造を持つMOF結晶を固定相に用いて高速液体クロマトグラフ用の新規キラル分離カラムを調製し、これを用いて各種の光学異性体の高効率な分離法を開発した。たとえば、アルコール類の光学異性体分離では1-フェニル-1-プロパノールが最も良い分離能を示した。また、β-ラクタム誘導体の光学異性体分離について検討した結果、4-フェニル-2-アゼチジノンはヘキサン-IPAを用いると効率良くエナンチオマーを分離することができた。ハロゲンが置換した誘導体について検討した結果、p-位にBr基やCl基が置換した誘導体では、ベースライン分離が達成できることがわかった。その他、ベンゾインやtrans-スチルベンオキシド、フラバノン、ベンズヒドロール、ベンゾ[b]フルオレノール、マンデルアミドなどのエナンチオマーを高効率で分離できることが明らかとなった。
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