研究概要 |
平成23~25年度にわたり、レニウム錯体の不飽和結合活性化を利用した多置換芳香族化合物の選択的合成を追求した。平成23年度の研究では、レニウム錯体による炭素‐窒素二重結合ならびに炭素‐炭素三重結合の活性化に基づく、キノリンならびに1,2‐二置換ナフタレン誘導体の合成に成功した。24年度はレニウム触媒による炭素‐炭素三重結合の活性化を利用した反応を検討し、2-(フェニルエチニル)ベンズアルデヒドと内部アルキンとの反応を行うと、2,3‐二置換ナフタレン誘導体が一段階で選択的に合成できることを見出した。 オルト位でベンゼン環が連結したオルトフェニルオリゴマーは、パイ電子が高密度に集積化し、らせん構造を有していることが知られている。そこで26年度は、23,24年の2年間の研究で見出したレニウム錯体の不飽和結合活性化を利用した多置換芳香族化合物の選択的合成を応用したベンゼン環とナフタレン環が連結したオルトフェ二レンオリゴマー類似体の新規合成法の開発に取り組んだ。 その結果、2-(フェニルエチニル)ベンズアルデヒドと2,2‐ビス(フェニルエチニルフェニルアセチレンを反応させると、ベンゼン環とナフタレン環が交互に連結した化合物が合成できることを明らかにした。その後、芳香族環に置換基を持つ化合物にこの反応を適用し、ベンゼン環とナフタレン環上に様々な置換基を持つ化合物の合成を達成した。さらにブタジインを用いることで異なったパターンでベンゼン環とナフタレン環が交互に連結したオルトフェ二レンオリゴマー類似体の合成にも成功した。
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