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2012 年度 実施状況報告書

主鎖に分子認識部位と動的軸性キラリティーを有するπ共役らせん高分子の創製と応用

研究課題

研究課題/領域番号 23550133
研究機関金沢大学

研究代表者

前田 勝浩  金沢大学, 物質化学系, 准教授 (90303669)

キーワードらせん / 光学活性 / 軸性キラリティー / 円二色性 / 記憶 / 共役高分子 / クラウンエーテル
研究概要

昨年度、クラウンエーテルで連結したビフェニル誘導体を剛直なπ共役系で連結したポリ(ビフェニレンエチニレン-alt-フェニレンエチニレン)誘導体が、アセトニトリル中では、光学活性アミノ酸の過塩素酸塩との錯形成により、ビフェニルの動的軸性キラリティーが一方向に制御されるだけでなく、ポリマー主鎖が一方向巻きのらせん構造へと折りたたむことを見出した。さらに、アキラルなグリシンで置換後も、アセトニトリル中では一方向巻きのらせん、クロロホルム中ではランダムな構造へと、溶媒の種類によって可逆的なコンホメーション変化を示す「らせん構造の記憶」の現象の初めての例になることを見出している。
本年度は、この現象に関して詳細な解析を行うことを目的とし、記憶されたらせん構造の安定性、ビフェニルのねじれの片寄り、らせん形成に及ぼすリンカーの構造の影響などについて検討を行った。その結果、以下の知見が得られた。(1)ビフェニルに誘起されたねじれの片寄りが、グリシンに置換することによって記憶として保持されるために、ポリマーが一方向巻きらせんとランダムコイル間の可逆的なコンホメーション変化を示すことが分かった。また、モデル化合物との比較から、ポリマーがらせん構造を形成している方が、ビフェニルの軸性キラリティーの記憶がより安定に保持されることを見出した。(2)グリシンよりもナトリウムイオンで置換する方が、記憶がより安定に保持された。(3)ポリマーがらせん構造を形成することにより、ビフェニルに誘起されるねじれの片寄りが、より一方向に片寄る不斉増幅現象が発現することを明らかにした。(4)剛直なπ共役系のフェニレンエチニレンユニットをパラ体からメタ体に変えると、らせん構造を形成しなくなることが示唆され、本ポリマーのらせん形成にはリンカー部位の構造の選択が重要であることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、これまでに得られた現象に関して分子モデル等との比較により詳細な解析を行うことにより、本現象の機構などに関して分子レベルでの知見が得られた。次年度以降の機能発現に向けて、基礎的に有用な多くの知見が得られたことから達成度②と自己評価した。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた成果をもとに、「対象物質のキラリティーに関する情報を吸収や発光、色調変化により検知可能なキラルπ共役高分子システムの開発」を目的として、高感度なキラリティーセンサーへの応用等の機能発現に向けた研究を展開する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 動的特性を有するらせん高分子のキラリティー制御と不斉増幅現象2012

    • 著者名/発表者名
      前田 勝浩
    • 学会等名
      第61回高分子討論会
    • 発表場所
      名古屋工業大学
    • 年月日
      20120919-20120921
    • 招待講演
  • [学会発表] 分子認識部位としてクラウンエーテルを有するポリ(ビフェニレンエチニレン)誘導体へのキラリティー誘起とその安定性2012

    • 著者名/発表者名
      前田勝浩、持田博紹、井改知幸、加納重義
    • 学会等名
      第61回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20120529-20120531

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公開日: 2014-07-24  

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