研究課題/領域番号 |
23550140
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
横山 明弘 成蹊大学, 理工学部, 教授 (50343637)
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キーワード | 大環状化合物 / アミド結合 |
研究概要 |
研究計画に基づき、平成24年度はイソブチルオキシ基を有するモノマーの合成を行った。まず、市販のケリダム酸と臭化ベンジルを乾燥アセトン中で加熱還流し、ジベンジルエステル体を収率 73% で得た。次にこのジベンジルエステル体をメタノール中でアンモニアと反応させ、ジアミド体を収率 98% で得た。さらにジアミド体のベンジルエーテルを DMF 中、触媒としてパラジウムカーボンを用いて加水素分解し、OH 体を収率 99% で得た。この OH 体に DMF 中でヨウ化イソブチルを作用させ、イソブチルオキシ側鎖をもつジアミドを収率 90% で得た。その後、Hofmann 転位によりアミドをアミンに変換してモノマーの合成を試みたが、目的物は得られなかった。これは、後処理の際に乾燥剤として用いた無水硫酸マグネシウムに、塩基性である目的物が吸着したためと考えた。そこで塩基性の乾燥剤である炭酸カリウムを用いたところ、目的とするモノマーを収率 40% で得ることができた。この反応はスケールを大きくすることによって、収率を 71% に向上することが出来た。 得られたジアミンモノマーとテレフタル酸クロリドとの縮合反応により、大環状化合物の合成を検討した。その結果、反応は進行して中程度の分子量を有するオリゴマーが生成した。得られた生成物の混合物のなかから環状化合物の分離を試みた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーや、クロロホルムを溶離液とする SEC モードの分取 HPLC で分離を試みたが、生成物がクロマトグラフィーの担体に吸着してしまうため、分離が非常に困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ジアミンモノマーとテレフタル酸クロリドとの反応によって得られる生成物から大環状化合物を単離する際に、予想に反し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに用いるシリカゲルや、クロロホルムを溶離液とする SEC モードの分取 HPLC に用いるポリスチレンゲルに生成物が吸着してしまったため、分離が非常に困難であった。そのため、大環状化合物を単離することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に合成したジアミンモノマーを、テレフタル酸クロリドと反応させてオリゴマーを合成し、そこから大環状化合物を単離する。平成24年度に同様の反応を行い、クロロホルムを溶離液とする SEC モードの分取 HPLC では、オリゴマーがポリスチレンゲルに吸着するために分離が困難であること、ならびに溶離液を THF に変更した場合はオリゴマーの吸着が抑えられることを明らかにしている。そこで平成25年度は、SEC モードの分取 HPLC に用いるカラムを購入し、溶離液として THF を用いて大環状化合物の分離を検討する。 上記の方法で、目的とする大環状化合物の生成が確認できたら、その収率を向上させるために反応条件の最適化を行う。また、得られた大環状化合物の単結晶化を行い、X 線構造解析により立体構造を解明する。 上記に示したジアミンモノマーとテレフタル酸クロリドとのワンポット反応以外に、ジアミンモノマーとテレフタル酸誘導体を段階的に反応させて、逐次的な大環状化合物の合成も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. THF を溶離液とする SEC モードの分取 HPLC で用いるカラムの購入 2. 各種試薬や実験に必要な器具および装置などの購入 3. 研究成果の発表
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