研究概要 |
昨年度までに合成法を確立させたジアミノピリジンモノマーを、ケリダム酸から5工程で大量合成し、テレフタル酸クロリドと反応させることによって、ピリジンユニットとベンゼンユニットをアミド結合でつないだ大環状化合物の合成を検討した。溶媒としてテトラヒドロフラン、塩基としてトリエチルアミンを用いて室温で反応を行った。生成物をゲル浸透クロマトグラフィーで分析したところ、Mn = 920 の生成物ならびにそれより分子量の小さい生成物の混合物が得られたことがわかった。目的とする化合物は、ピリジンユニットとベンゼンユニットをそれぞれ6個ずつ含む分子量 1866 の大環状化合物であるため、より高分子量の生成物を得るために溶媒や塩基の種類、ならびに反応温度などの反応条件を検討した。その結果、溶媒として 1,4-ジオキサン、塩基として N-エチルジイソプロピルアミンを用い、50 ℃ で反応を行うと、Mn = 1800 程度の生成物が得られることがわかった。 生成物の分離をサイズ排除モードのクロイマトグラフィーで検討したところ、生成物がカラム中のポリスチレンゲルに吸着するため、分離が困難であった。溶離液として用いる溶媒の種類(クロロホルムやテトラヒドロフラン)や、アンモニウム塩や酸などの様々な添加物を用いた分離を検討したが、吸着を改善することができなかった。そこで分取用薄層クロマトグラフィーを用いた分離を検討したところ、目的物と同程度の分子量の化合物を含む分画を得ることができた。
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