研究概要 |
軸回転型の官能基として5員環環状カーボナート構造の置換基を導入したポリシラシクロブタン(SBMC)を固体高分子電解質として使用した場合には、ホモポリマーであるpolySBMCは5員環環状カーボナート基により高分子主鎖の運動性が低下して十分なイオン伝導性が発揮されなかったことから、高分子主鎖の運動性を高めるために、柔軟な成分として1,1-ジエチルシラシクロクブタン(DESB)を添加し、DESBとSBMSの共重合体poly(DESB-co-SBMC)の合成とそのポリマーにリチウム支持電解質を添加してのイオン伝導性に関して検討を行った。DESB:SBMC=50:50の組成で白金触媒を用いて重合を行った結果、poly(DESB-co-SBMC)(50:50)(数平均分子量45,800、重量平均分子量118,000、ポリスチレン換算)の高分子量のポリマーが高収率で得られた。このポリマーのガラス転移温度は、-38℃であり、polySBMCのガラス転移-13℃と比較すると非常に低く極めて柔軟なポリマーであることがわかった。このポリマーに支持電解質としてリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)をSBMCユニットに対して25mol%添加してイオン伝導度測定を行ったところ、室温で0.028mS/cmの比較的高いイオン伝導度を有することがわかった。これは、同様にLiTFSIを添加したpolySBMCホモポリマーの室温におけるイオン伝導度のおよそ50倍の値であり、主鎖の柔軟性がイオン伝導性に重要であることがわかった。
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