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2011 年度 実施状況報告書

有機半導体を適用したアンモニア酸化分解用可視光応答性デバイスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23550145
研究機関弘前大学

研究代表者

阿部 敏之  弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20312481)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード可視光応答性素子 / 光触媒 / 有機半導体 / p/n接合 / アンモニア / 酸化分解 / 水素生産
研究概要

近年, アンモニア(NH3)の排出量は自然界の窒素サイクルで分解できる許容量を大きく上回っていると指摘されている. アンモニアを可視光により分解し化学量論的に窒素と水素をもたらすことができれば, アンモニアの処理法とクリーンな水素製造法が一挙に得られることになるが, そのような過程を誘起できる可視域光触媒の例はほとんど知られていない.
本研究では, フラーレン(C60, n型半導体)と無金属フタロシアニン(H2Pc, p型半導体)からなるp/n型有機フィルムを光アノードとして用いてアンモニアの酸化分解を光電気化学法により検討した. 現時点では窒素発生を伴うアンモニアの6電子酸化活性を見いだすには至っていないが, ヒドラジン(N2H4:アンモニアの酸化生成物)の酸化に対しては4電子酸化活性を示し, C60/H2Pc系光アノード上で窒素発生が誘起されるとともに, 対極上で還元的に水素がもたらされた. 亜鉛フタロシアニン(ZnPc)やニッケルフタロシアニン(NiPc)もp型半導体層として有効に作用した. さらに, H2Pcの表面に吸着材としてナフィオン膜を担持した条件では, ヒドラジンの濃縮効果により酸化活性が約3倍程度向上することも明らかとなった. いずれも広範な可視光エネルギーの利用により多電子過程を誘起できる点で, 従来の無機半導体系には見られない特長を有する光触媒系が有機半導体により創製できる可能性が見いだされた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

アンモニアの6電子酸化を誘起するp/n型有機フィルム材料の探索の点で遅れている. しかし, 研究の過程でアンモニアの酸化生成物(ヒドラジン)を4電子酸化し, 化学量論的に窒素と水素をもたらす材料系を光電気化学的に見いだした. 多電子過程を誘起する光触媒系を有機半導体材料により創製する観点において, 興味深い結果が得られた.

今後の研究の推進方策

アンモニアの6電子酸化を誘起可能なp/n型有機フィルム材料の探索をより一層進める. 平成23年度は用いるp型半導体層として各種フタロシアニンに絞って調べたので, 探索の範囲を拡げた上で研究の遂行を図りたい.
また, ヒドラジンの酸化を伴った水素生成は多電子過程を包含しており, それを誘起する光触媒系を有機半導体材料で創製することは基礎科学的にも非常に意義深い. 用いる基体の選択を含めて, C60/H2Pc系, C60/ZnPc系及びC60/NiPc系の光触媒化を図るとともに, それらの機能・特性評価を並行して進める.

次年度の研究費の使用計画

平成23年度予算の繰り越し分の発生は, p/n型有機フィルム作製の際に用いる真空蒸着機が再三にわたって故障し, 研究実験が円滑に進捗しなかったことに起因する. 平成23年度予算の繰り越し分は平成24年度予算と合算して使用し, 当該年度に物品費として充当する. それ以外は当初の予定通りの予算執行を想定している.

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公開日: 2014-07-24   更新日: 2015-05-28  

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