研究課題/領域番号 |
23550146
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
岸岡 真也 群馬大学, 教育学部, 准教授 (30324007)
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キーワード | 機能物性化学 |
研究概要 |
多環縮合系パイ共役構造が線形に超高密度化した高電子伝導性材料を実現するための基礎的な検討として、前年度までに行った電解重合を適用する場合に重要な因子の一つとなるモノマーの選択やグラッシーカーボン電極での酸化還元特性評価に引き続いて、いくつかの検討を行った。特に単結晶面を有する蒸着金薄膜電極を作用電極とした電解重合とその生成物の電気化学的特性評価および走査トンネル顕微鏡を用いた形態観察を行った。また、電解重合生成物の電気特性測定と構造に関する知見を得るためにX線光電子分光測定を行った。走査トンネル顕微鏡の電流電圧変換アンプの選択とノイズ対策を行うことで、トンネル電流レンジを昨年度と比較して1/30程度まで下げることに成功した。真空蒸着で作製した金薄膜を電気炉によりアニール処理を行い、表面の平滑性が大幅に向上することを走査トンネル顕微鏡観察により確認したのち、電解重合用作用電極に供した。オルトフェニレンジアミンをモノマーとした場合、サイクリックボルタンメトリーによる酸化還元特性評価ではグラッシーカーボン電極で電解重合を行った場合と異なり、遅い掃引速度まで良好な酸化還元応答を示し、その酸素還元反応に対する触媒応答は電流密度で比較した場合、大幅な増加が見られた。X線光電子分光測定からは単結晶電極を用いることで電解重合生成物での-C-N-C-結合の割合が増加し、電解重合生成物であるポリマーは、より閉環状態に近い構造を取ることが裏付けられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多環縮合系パイ共役構造が線形に超高密度化した高電子伝導性材料を実現するために電解重合法に原子レベルで平滑面を有する金薄膜単結晶電極を適用し、物性を電気化学測定と電気測定、形態を走査プローブ顕微鏡とX線光電子分光法に評価を行った。 電解重合を行う場合に選択するモノマーとして、電解重合可能な二つのアミノ基を有する芳香族化合物 として新たに2,3-ジアノトルエン、2,3-ジアミノフェノール、2,3-ジアミノニトロベンゼンの酸化還元特性を検討した。走査プローブ顕微鏡測定として、STMのトンネル電流アンプの選択やノイズ対策を施し、電解重合生成物の大気中での観測を行った。金薄膜電極で電解重合を行ったオルトフェニレンジアミンは酸素還元反応に対する触媒作用に大幅な向上が見られ、X線光電子分光法から、より環が閉じた構造を取っていることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
走査トンネル顕微鏡による表面観察では、単結晶面の平滑なテラスに均一なポリマーが析出している様を観察することができたが、明瞭な分子レベルでの構造を確認するには至っていない。昨年度より、微小なトンネル電流の測定およびSTMヘッドをFM-AFMに置換え高感度する整備を行ってきたが、in situ電気化学STM測定を含めた検討を更に行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
走査トンネル顕微鏡による表面観察では、単結晶面の平滑なテラスに均一なポリマーが析出している様を観察することができたが、明瞭な分子レベルでの構造を確認するには至っていない。 昨年度より、微小なトンネル電流の測定およびSTMヘッドをFM-AFMに置換え高感度する整備を行ってきたが、in situ電気化学STM測定を含めた検討を更に行いたい。走査プローブ顕微鏡用のチップ用消耗品(チューニングフォーク)やまとめとしての学会や論文投稿のための発表にも使用する予定である。
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