メタノールの電気化学的酸化触媒として機能するNi錯体の創製について検討した。本研究では、Ni(III)/Ni(II)に基づく酸化還元電位をより負側に設定するため、強い電子供与能を示すピンサー型配位子を有するNi(II)錯体の合成を行い、電気化学的挙動について明らかにした。その結果、第二級チオアミドをアーム部位に持つNi錯体に対して塩基を作用させることで、低い酸化電位を有する錯体の生成に成功した。この錯体を用いてメタノールの電気化学的酸化を試みたところ、約+0.8 Vで酸化反応が進行した。電極上に錯体を固定する方法についても検討を行い、前駆体となる配位子の合成について知見を得た。
|