研究課題
本研究課題では、新しい概念に基づく人工光合成素子の開発を念頭に置いて、アミジンとカルボン酸から形成される相補的な塩橋を利用して、色素などの機能団を精密に配置させた1~3次元構造体をつくる方法論を確立することを目的として研究を進めてきた。本年度は、以下に示す3つの成果が得られた。1.CHCl3中でカルボン酸ポリマー(poly-C)とキラルアミン(R)-1を混合すると主鎖領域に誘起円二色性が観測され、poly-Cがキラルな主鎖構造を形成することが分かった。一方、単量体(C)とピペリジンからなる錯体の単結晶X線構造解析の結果をもとに半経験的分子軌道計算を行って二量体モデルを構築したところ、アミン存在下、poly-Cは左右どちらか一方向巻きの二重らせん構造を形成することが示された。2.両末端にカルボキシル基をもつテレケリックなブタジエンオリゴマーを、主鎖にアミジン基を有するポリアミジンを混合することで、アミジン基とカルボキシル基間の水素結合性の塩橋を介した超分子ネットワーク構造をもつポリマーゲルを合成した。この超分子ポリマーゲルは構成成分ポリマー単体に比べて力学的物性が向上しただけでなく、温度変化などの外部刺激に応答して動的粘弾性が著しく変化することが分かった。3.ポリアミジンとポリエチレングリコール(PEG)からなる均一な二成分系が、室温、一気圧で、アミジン基に対して66%の収率で炭酸ガスを捕捉した。この二成分系を窒素気流下で加熱すると、効率よく炭酸ガスを放出した。一方、汎用のポリエチレンイミンとPEGからなる均一二成分系は同じ条件下で、アミノ基に対して6%程度しか炭酸ガスを捕捉できず、ポリアミジンが優れた炭酸ガス捕捉剤であることが示された。
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ChemPlusChem
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