研究課題/領域番号 |
23550155
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
御崎 洋二 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90202340)
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キーワード | 分子性導体 / 多段階酸化還元 / サイクリックボルタンメトリー / ドナー-アクセプター系分子 / 電子構造 |
研究概要 |
分子内にドナー部とアクセプター部の両方を有する分子について量子化学計算を行ない,その電子状態,特にHOMOとLUMOのエネルギー差(HOMO-LUMOギャップ)およびドナー部とアクセプター部の両方の存在に由来する分子内電荷移動度について検討した。TCNQのジシアノメチレン部位をTTF融合した1,3-ジチオール環(DT-TTF)で置換した新規D-A型分子(1)の合成に成功した。UV-vis-NIRスペクトルによると1は900 nm付近に分子内電荷移動に基づくと思われる吸収を示す。サイクリックボルタンメトリ-法により,この分子系がTTF由来の二電子酸化およびジシアノメチレン部に由来する一電子還元過程を示すことが明らかとなった。X線構造解析によると分子は積層構造をとり,ドナー部位の上にドナー部位が積層したHead-to-head型積層構造をとることが見出された。中性の伝導度を単結晶試料について測定し、10-5 S cm-1の比較的高い伝導性を示すことを明らかにした。DT-TTF骨格が固体中で強い総合作用を形成しやすいことや分子内電荷移動状態であることが、高伝導性が達成された要因と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたドナー-アクセプター(D-A)系分子の合成に成功し、溶液中の分子の性質を紫外可視吸収スペクトル・サイクリックボルタンメトリ-・分子軌道計算等により、明らかにできている。単結晶X線構造解析に成功し,分子構造と結晶構造を明らかにできた。また、単結晶試料でも比較的高い導電性が達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き新規ドナー-アクセプター(D-A)系分子の合成を行いその性質を明らかにする。H23年度は単結晶の導電性を明らかにできなかったため、これら新規分子の単結晶化を行い、結晶構造と導電性の関係を明らかにすることで、新たな設計指針を得て分子設計にフィードバックさせながら研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は基礎的なデータを収集するための実験を中心に研究を進めた。そのため、既存の設備、ガラス器具、試薬を用いることができたため、研究費の執行額を抑えることができた。このデータに基づき平成25年度以降には引き続き新規分子の合成に必要な試薬、ガラス器具等に使用する予算を計上する。さらに単結晶化を行うための特殊なガラス器具等の導入を計画している。なお、得られた成果は学会発表や、国際的な論文誌で報告予定であり、出張費・投稿料・別刷り印刷費も必要となる。
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