研究課題/領域番号 |
23550156
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山浦 弘之 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (40314968)
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キーワード | センサー / 燃料電池 / 触媒・化学プロセス |
研究概要 |
1.前年度、CuO担持酸化スズ材料の高感度化のためのベース材料の候補として、SnO2-In2O3を見いだしたが、安定性の面で不十分なことがわかった。そこで、SnO2-ZnO系について組成比の検討を行った。その結果、Sn:Zn=5:5の組成において110℃乾燥の状態でZnSn(OH)6の結晶構造をとることが確認され1辺が約1μmの立方体状の形状の集合体であることがわかった。さらに、焼成を110℃から900℃まで行ったところ600℃でSnO2結晶子径は3.1nmと微粒子化することがわかった。これはSnとZnが均一に分散していたことより、焼成中のSnO2結晶成長を抑制したと考えられる。今後、形状制御されたことで新たなセンサ特性の発現が期待できる。 2.SnO2-In2O3系の大きな感度発現について、検知メカニズムの観点からの検討を行った。我々が見いだした手法であるTPRと抵抗測定を組み合わせた測定を行った。その結果、複合材料でCuに由来する還元温度が低下するとともにSnO2由来の新たな還元ピークの増加が認められることからSnO2の微粒子状態にCuOが高分散担持されたことによる反応場の増加が感度発現に重要であることがわかった。また、今年度導入した電気化学測定機を用いたインピーダンス測定による界面抵抗の検討から、バルク抵抗全体の変化が認められ我々の提案しているセンサ感度発現のメカニズムを実証できた。 3.高感度化および応答性の改善のためにCu以外の貴金属の効果について検討した。その結果、Rh、Pt、Pdを1wt%担持したSnO2が室温付近で還元雰囲気中の微量COに応答および良好な応答性を示すことを新たに見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、感度向上のためのメカニズムの検討および材料設計であり、感度発現については、CuOとSnO2の接合部分が感度発現に重要な役割をもつことをインピーダンス測定からも確認できた。感度向上に関しては、SnO2-In2O3の微粒子化によるCuO高分散させるセンサ材料のメカニズムをもとにSnO2-ZnO複合材料を用い形状制御された材料を新たに調製することができ、今後の新しいセンサ材料となり得る結果が得られた。また、応答性の改善のために貴金属の効果を測定温度範囲を室温からに拡張して測定したところ、室温付近でCO感度を示す全く新しい知見を得ることができ、安定性の面で有利なセンサを得られる可能性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策) 今後の方針としては、現在提案しているSnO2を用いたセンサの還元雰囲気でのCO感度発現のメカニズムの検証と高感度化することができた材料を用いて、実条件に近づけた雰囲気での安定性の測定および10-1000 ppmの微量CO濃度依存性の測定を行うことで実用センサ材料としての可能性を評価し3年間の総括を行う。 1.実条件でのセンサ特性評価(山浦(研究代表者)担当) CuO担持SnO2-In2O3試料および貴金属担持SnO2試料を用い、CO濃度依存性の測定および共存ガスの評価および安定性の評価を行う。 2.総括(山浦(研究代表者)担当)
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、前年度に引き続き感度向上のセンサ材料の探索を優先して行ったため装置の改良などの必要がなく、次年度で実排ガス条件での測定を中心に行うための装置の改良が必要なことから金額を持ち越した。次年度は既存の装置によるセンサ特性の評価を実条件に近い状態で行うのに必要なガスや試薬および配管部品などの消耗品へ物品費を充てる。旅費については、得られた成果について関連学会での発表を行う。
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