研究課題
本年度は、二次元ナノパターン精密制御手法の開発を目指し、転写圧、温度の制御による線張力と双極子-双極子相互作用の精密制御を行った。相分離混合ラングミュア膜及びラングミュア-ブロジェット(LB)膜中に形成するドメインのサイズと形状は、線張力と双極子-双極子相互作用の兼ね合いで決定される。線張力が優勢の場合はマイクロメートルスケールの円盤ドメインが形成する。一方、双極子-双極子相互作用の寄与が大きくなると、細長いand/or小さいドメイン形成が優勢となる。このことを利用して相分離構造を制御することが可能である。長鎖脂肪酸とハイブリッドカルボン酸の混合LB膜の相分離構造はドメイン境界に働く線張力の調整によっても制御可能である。そこで、長鎖脂肪酸、ハイブリッドカルボン酸、シランカップリング剤の3成分からなる混合LB膜の相分離構造を、原子間顕微鏡を用いて明らかにした。膜の組成、転写圧、温度の相分離構造に与える効果を検討することにより、ドメイン構造の発展について明らかにした。また鋳型上でのポリマーブラシ作製を目指し、マイクロメートルスケールの円盤状ドメインのパターンを有する鋳型を作製し、その鋳型に自己組織化を用いて重合開始基を固定した。その重合開始基から、原子移動ラジカル重合により、PNIPAAmのパターン化したポリマーブラシの作製を行い、原子間力顕微鏡を用いてその構造を明らかにした。さらにこのポリマーブラシ上での水のぬれ性の温度依存性を明らかにし、環境応答性のナノパターン表面作製を行うことに成功した。
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