qsal系三座Schiff塩基配位子による鉄(II)錯体において、配位子上の置換基により、スピンクロスオーバー(SCO)特性が大きく変化することを明らかにした。具体的には、カルボキシル基を有する[Fe(qsal-5c)2]においては、2次元水素結合網の形成によりSCOを示すが、置換位置の異なる[Fe(qsal-4c)2]や水酸基の置換した[Fe(qsal-nOH)2]系においてはSCOを示さないこと、また、ベンゼン環が付加したqnal系ではその置換位置の違いにより、qnal-21以外では配位子の平面性を保持するようなπ-π相互作用が有効に働かず、SCOを示さないことがわかった。
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