研究課題
本研究は、免疫的化学測定法(イムノアッセイ)を利用した簡便、廉価、迅速、高精度、自在な測定環境などの特徴を有する低分子残留農薬分析法の確立を目的として研究を行った。残留農薬の微量分析は、一般的に、煩雑な前処理の後に、液体クロマトグラフや質量分析、あるいはそれらの連動した複合的、総合的分析機器類などの高価な分析装置に頼ると同時に分析場所も限られ、自在な分析方法とはほど遠く、総じて長時間の分析期間が必要であることがほとんどである。本研究では、免疫的化学測定法を応用し原理的に生物機能としての抗原抗体反応を利用する。免疫的化学測定法は標的化合物に対して特異的な抗体を用いるが、農薬は低分子化合物であるため、直接免疫しても抗体が得られない。そこで標的物質にカルボキシル基などの官能基を有する側鎖を導入した誘導体(一般にハプテンという)を高分子蛋白質のアミノ基と結合させて免疫源とし、蛋白質の一部としてハプテンを認識させることにより、標的化合物を特異的に認識する抗体を得た。その結果、本研究では、触媒的合成技術の開発、標識農薬ハプテン合成、農薬特異抗体の作成およびキット化まで行い残留農薬キットの市販に至った。この目的の達成により残留農薬の簡便・迅速・廉価検査法が確立され、環境負荷を監視できるばかりでなく行政、企業等の社会的責任を明確にすることができるとともに最も重要な人への健康被害を未然に防ぐことが可能となる。本研究で確立される技術は高価な機器分析に比べて多くの利点を有し、環境監視や健康の維持に大きく貢献すると考えられる。
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