研究概要 |
近年、固相固定型オスミウム触媒の開発により、オレフィンのジヒドロキシル化反応において触媒の回収や再利用が可能となったが、これらは不均一系であるが故に触媒活性が十分ではない。一方我々は、デンドリマーのコア部にオスミウムを固定化することにより、ジヒドロキシル化反応が均一系で円滑に進行し、さらに再沈殿により触媒の回収も可能であることを明らかにした。今回我々は、コア部にクリプタンド骨格やコア部中心に三級窒素を有する支持体を基にデンドリマー固定型酸化オスミウム触媒を合成し、これを用いてオレフィンのジヒドロキシル化反応を行った。 まず、DMF 中で [2,2,2]クリプタンドやN,N,N’,N’’,N’’ -ペンタメチルジエチレントリアミン、と 第3世代のポリ(アリールエーテル)デンドロン臭化物を反応させ、対応するビス(四級アンモニウム塩)コアデンドリマーをそれぞれ合成した。そしてこれらの塩化メチレン溶液にオスミウム酸カリウム水溶液を添加することにより、コア部にオスミウム酸イオンを固定化した触媒をそれぞれ得た。そこで、これらの触媒を 1 mol% 用い、オレフィンのジヒドロキシル化反応を行ったところ、いずれの場合もオレフィンは 30 分で消失した。反応後、再沈殿により触媒を回収して繰り返し反応を行った。その結果、5 回目の反応でも良好な収率でジオール体を得ることができた。また、N,N,N’,N’’,N’’ -ペンタメチルジエチレントリアミン由来の触媒は、コア部中心に三級窒素を持たない触媒を用いた場合よりも、ジヒドロキシル化反応におけるオスミウムの溶出が抑えられ、本触媒設計手法の有用性が示された。
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