前年度に合成したデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン-金錯体を触媒として用い、プロパルギルアミンと二酸化炭素との反応を試みたところ、メタノール溶媒中室温で、触媒として 第1世代のデンドリマー固定化含窒素複素環カルベン-金錯体を用いた場合、低収率ながら目的生成物の 2-オキサゾリジノンが得られた。また、触媒のデンドリマーの世代に関わらず、反応温度を上げることにより収率は向上し、さらに第1世代の触媒よりも第2世代の触媒を用いることにより、良好な収率で2-オキサゾリジノンが得られ、均一系触媒であるデンドリマー固定化触媒の優位性が示された。 また、デンドリマーを支持体とする酸化オスミウム触媒のコア部を替え、オレフィンのジヒドロキシル化反応におけるそれぞれの触媒活性および反応中のオスミウムの溶出率について比較検証した結果、デンドリマーのコア部の中心に酸素原子を有する触媒は、配位性置換基を有しない触媒と同程度の反応性及びオスミウムの溶出率を示した。一方、コア部の中心に三級窒素を有する触媒を用いた場合、反応性は同程度ながらオスミウムの溶出が抑制された。 次に、コア部の中心に三級窒素を有する触媒を用い、ジヒドロキシル化反応における触媒の回収、再利用について調べた結果、触媒は再沈殿により回収され、再利用を行うことにより、5 回目までいずれも収率よく対応するジオール体が得られ、デンドリマー固定化に基づく、触媒のリサイクル可能性等の有用性が示された。 また、オスミウムの溶出率は触媒のリサイクルに伴い抑制される傾向が見られ、さらに、本触媒は広い基質一般性を有することや、不斉反応に適用可能であることも分かり、均一系触媒であるデンドリマー固定化酸化オスミウム触媒の汎用性が示された。
|