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2011 年度 実施状況報告書

海水中で使用できる新規分解性両親媒性化合物の創製と機能に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23550184
研究機関地方独立行政法人大阪市立工業研究所

研究代表者

小野 大助  地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, 研究員 (30416317)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード両親媒性化合物 / 界面活性剤 / 化学分解性 / ジオキソラン / 二疎水鎖型 / 海水 / 非イオン / 糖
研究概要

これまで研究を行ってきた化学分解機能を付与した新しい両親媒性化合物は、分解性連結部(アセタール基、1,3-ジオキソラン環、エステル基など)を分子内に導入していることからそのままでも微生物による生分解性がいいことが判明している。そのなかでも海水(ミネラル、塩を含む水)中で、良好な界面物性が保持できる分解性両親媒性化合物を創製することができれば、海洋事故に使用する際、環境負荷の低減が期待できる。 そこで 親水基には糖などの天然物を有する海水中で使用できる分解性非イオン両親媒性化合物の創製とその機能に関する研究を行った。今年度は、1,3-ジオキソラン環を有する新規両親媒性化合物を合成し、その界面物性を測定した。 まず、果実などの各種植物中に遊離酸または塩として存在する酒石酸と長鎖ケトンをトルエン中、酸触媒存在下、脱水縮合反応させ、1,3-ジオキソラン環を有する中間体を合成した。精製は、クーゲルロール蒸留法により行った。収率は、約80%であった。 続いて中間体と糖(ショ糖、ラクトビオン酸)を炭酸カリウム存在下、DMF中でエステル交換反応を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物を得た。ショ糖は食添用界面活性剤に用いられ、ラクトビオン酸はヨーグルトなどに含まれ最近注目されている。 そして、それらの基本的界面物性(曇点、表面張力、起泡力)を測定して対照界面活性剤(通常のエトキシレート界面活性剤や食添用のシュガーエステル)と同等以上であることを明らかにした。また、人工海水で測定した結果も同様であった。乳化力は、対照界面活性剤とほぼ同程度であったのに対し、人工海水中では、上回る結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、2種類の両親媒性化合物を得るために反応温度、時間、溶媒などを検討し、最適反応条件の確立を目指し、次年度以降、それらの物性を測定することになっていたが、今年度は1種類の両親媒性化合物を合成し、引き続きその界面物性を測定した。 まず、中間体と目的物の最適反応条件を確立し、目的物の化学分解性両親媒性化合物が得られることを見出した。 その後、純水中、人工海水中での種々の界面物性を対照界面活性剤と比較し、同等以上であることを明らかにした。特に、人工海水中での乳化力は対照界面活性剤よりも良好であった。 よって本年度の研究計画はおおむね達成することができた。

今後の研究の推進方策

今後は、もう1種類の両親媒性化合物の合成と評価を行う。親水基には、今年度同様ショ糖およびラクトビオン酸を用いる。 酒石酸骨格の二鎖型化合物中間体は、酒石酸水酸基とアルキルハロゲン化物のエーテル化を、一般的なWilliamson法に従って合成する。まずアルカリ触媒として、水酸化ナトリウム、溶媒としては、ヘキサンまたはジオキサンを使って反応を試みる。中間体と糖との反応は、アルカリ触媒としては炭酸カリウムを用い、溶媒としてDMFを考えている。 得られた分解性両親媒性化合物の基本的界面物性(表面張力、起泡力、水溶性、乳化力)を測定し、臨界ミセル濃度、表面張力低下能、泡立ち、泡安定性及び曇り点などの情報を得ていく。また、種々の濃度のアルカリを添加し、分解性両親媒性化合物の分解速度や安定性などを測定する。さらに、活性汚泥による生分解性試験を行う。

次年度の研究費の使用計画

目的物を合成するための薬品、ガラス器具などや物性測定のための機器、器具などを購入する。また、昨年東京での国際学会が震災の影響で順延になったため繰越金が発生したが、今年度に発表するので、学会登録費、旅費等で使用する。また、論文発表の英文校閲費、投稿費、またその他の学会でも発表する予定なので出張費として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 化学分解機能を付与した両親媒性化合物の創製

    • 著者名/発表者名
      小野大助
    • 学会等名
      化粧品技術フォーラム
    • 発表場所
      東京ビックサイト
    • 年月日
      平成23年6月29日
  • [学会発表] ラクトビオン酸由来新規界面活性剤の合成と機能

    • 著者名/発表者名
      上野龍馬、小林正治、益山新樹、小野大助
    • 学会等名
      日本油化学会フレッシュマンサミットOSAKA
    • 発表場所
      近畿大学本部キャンパス
    • 年月日
      平成23年11月5日
  • [備考]

    • URL

      http://w3o.omtri.city.osaka.jp/

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公開日: 2013-07-10  

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