• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

糖脂質メタボローム解析による細胞のフェノタイピングに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23550185
研究機関北海道大学

研究代表者

藤谷 直樹  北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 特任助教 (10374191)

キーワード糖脂質 / メタボローム解析 / 質量分析法
研究概要

平成24年度は、細胞の脂溶性物質メタボローム解析の一環として、細胞内の糖脂質分子の一種であるドリコールリン酸結合型糖鎖(DLO)の定量解析方法を確立した。DLOは翻訳語修飾の1つであるN-結合型糖鎖の前駆体であり、小胞体内で逐次合成され、成熟した14糖(Glc)3(Man)9(GlcNAc)2からなるオリゴ糖がタンパク質のアスパラギン側鎖に転移することが知られている。前駆体であるDLO、タンパク質上のN-結合型糖鎖、さらにN-結合型糖鎖の細胞内分解物である遊離糖(FOS)を統合して定量解析することは、細胞のN-結合型糖鎖修飾の恒常性をモニタリングし、細胞の状態を定義することを可能にする。一般にDLOは極めて微量であり、従来その定量は放射性同位体ラベルを用いるか、非常に時間とコストがかかる蛍光ラベルと電気泳動法の組み合わせで行われてきた。本研究では、超遠心法を用いた簡便なサンプル調整方法と質量分析法による検出方法を確立した。さらに本研究では、糖尿病や神経変性疾患など様々な疾患の原因となることが知られている小胞体ストレス状態で細胞を培養し、そのストレスの違いによるDLO、N-結合型糖鎖、FOSの包括的な解析による細胞の状態評価の有用性を実証した。
また、昨年度にセラミド鎖の構造多様性を排除したGSLの糖鎖構造解析方法を確立したが、脂質分子の代謝経路を考慮した際、セラミドの構造多様性に関する解析も行うべきだと判断したため、液体クロマトグラフィ―質量分析(LCMS)を用いたGSL分子全体(糖鎖+セラミド)の定量解析法の開発に着手した。ガングリオシドに代表されるシアル酸を含む酸性GSLに特化した方法は報告があるものの、中性GSLとの同時解析は質量分析法のイオンモードの制約から未だ実現していない。本研究ではシアル酸のカルボン酸を選択的に中性化する方法の条件検討を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度当初は、メタボリックラベリング法を用いて、細胞内の脂質分子の効率的な安定同位体ラベル方法を確立し、核磁気共鳴(NMR)法と質量分析法を組み合わせた網羅的な脂溶性分子の定量的構造解析を目指したが、ラベル化効率が予定より低く、NMR解析に着手できていないことから、やや遅れていると判断する。

今後の研究の推進方策

質量分析法に比べ、NMRによる網羅的なメタボローム解析は低感度であることから、効率的な安定同位体ラベル法が求められるが、現時点でそれを達成するには時間とコストの面で難しい。しかし、細胞内脂溶性分子の代謝スピードの比較解析には同位体ラベル化が必須であるため、質量分析法による高感度な解析を優先して進める。ラベル化は透析血清を用いるなど、無血清培地からの変更を検討する。糖脂質全体(糖鎖+脂肪鎖)の定量的構造解析方法を確立し、た糖鎖部分に加えて脂質部分の構造情報を用いた細胞の分類を達成する。

次年度の研究費の使用計画

経費の節減の結果生じた使用残については、比較的高価な試薬である透析血清や安定同位体ラベルされたグルコースの購入に充当する。また、糖脂質解析に特化した解析のためのLCMS用カラムや溶媒を購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 総合的な複合糖質糖鎖プロファイリングによる細胞の分類とバイオマーカー探索2012

    • 著者名/発表者名
      藤谷直樹、古川潤一、荒木香代、 藤岡剛、伊東信、中村幸夫、篠原康郎
    • 学会等名
      第31回日本糖質学会年会
    • 発表場所
      鹿児島市民文化ホール(鹿児島市)
    • 年月日
      20120917-20120920

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi