研究課題/領域番号 |
23550193
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
江原 靖人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (40251657)
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研究分担者 |
開發 邦宏 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70419464)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インフルエンザ / DNAポリメラーゼ / DNA / シアリルラクトース / ヘマグルチニン / QCM |
研究概要 |
一般にタミフルなどのインフルエンザ治療薬はウイルス表面のノイラミニダーゼの活性を阻害する薬であるが、ウイルスの変異速度は非常に速く、タミフル耐性のウイルスも既に出現しており問題となっている。一方、ヘマグルチニン(HA)はウイルスの変異によっても保存される確率が高いため、HAを標的とした化合物は、あらゆるインフルエンザに対して結合すると期待される。そこで、本課題ではインフルエンザウイルスのヘマグルチニンを標的とし、1nMでインフルエンザウイルス感染を阻害する核酸を創製することを目指す。具体的には、申請者が開発した、「DNAにワンポットで糖鎖を導入する技術」を用い、HAの3つの糖鎖結合サイト全てに結合できるような糖鎖修飾核酸を合成し、そのインフルエンザウイルス結合能、及び感染阻害能を評価することを目的としている。 HAは、インフルエンザウイルス表面の3量体構造のタンパク質であり、シアリルラクトースと親和性が強いことから、23年度はシアリルラクトースを修飾したdUTP の合成を開始した。この化合物は、申請者がBioorganic&Medicinal Chemistry Letters (2007)において既に報告した手法を基本としているが、in vivoで安定性が向上するよう分子設計している。またヒトインフルエンザウイルスを用いた実験のために、シアル酸とガラクトースがα2,6-結合した化合物についても合成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インフルエンザウイルスが存在する培養液中でも加水分解されることのない、化合物の合成がほぼ完了したが、血清中での安定性についての評価がまだ終わっていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、23年度に開始したシアリルラクトースのグリコシド結合部分を置換した化合物の合成を完了し、dUTPに修飾する。実際に血清中で安定であることを確認後、DNAポリメラーゼによりDNA中に導入されることを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
シアリルラクトース修飾リンカーの合成のためにシアリルトランスフェラーゼ100千円、糖鎖修飾DNAの合成のためにDNAポリメラーゼ 2500Unit 200千円、インフルエンザウイルス培養のために培地100千円等を使用予定である。
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