研究課題/領域番号 |
23550194
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
兒玉 浩明 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80205418)
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研究分担者 |
長田 聡史 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50284609)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 生体分子 / 生理活性 / 活性酸素 / ダイマー |
研究概要 |
平成23年度は、ホルミルペプチド受容体の各サブタイプに選択的なアゴニストを共有結合で架橋した二量体を合成した。今回ホルミルペプチド受容体のサブタイプFPR1について、fMLP(HCO-Met-Leu-Phe))、もう1つのFPR2サブタイプに選択的なアゴニストとしてWKYMVM(Trp-Lys-Tyr-Met-Val-Met-NH2)を用いた。fMLPについて以前オリゴエチレングリコール架橋体の合成を行ったが、今回ヘテロ合成のため、シスチンを架橋剤として再合成した。生物活性評価の結果、各二量体とも、それぞれ母体単量体の有する受容体サブタイプ選択性、及び高い生物活性を発現することを見いだした。これらホモペプチドダイマー合成の際、二量化反応が進行しないことが判明したため、ヘテロリガンド合成で予定していた活性チオールを経由する二量体合成法を実施下。その結果、満足のいく結果で二量化ペプチドを得ることができた。この結果、合成の困難さが予想されていたヘテロ二量化ペプチド合成の経路も確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画である(1)ヘテロ二量化受容体の各サブタイプに高活性に結合するアゴニストーアンタゴニストハイブリッドの開発、(2)膜貫通配列ペプチド二量体を用いたライブセル上での受容体二量体構築と発現される生理活性の評価において、1年目ですでにハイブリッドダイマーの合成が概ね完了しており、順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、ヒト好中球等の細胞膜上に発現している受容体タンパク質の多量体形成を、化学合成した膜貫通ドメインペプチドを用いて調節することを試みる。以前の研究において二量体形成を必要とする受容体系へ単量体膜貫通ペプチドを添加し、受容体の発現する生理活性の調節に成功した。この現象は受容体膜貫通ペプチドが、生体膜上で受容体の膜貫通領域と相互作用し、受容体の二量化に影響を与えた結果と考えている。そこで膜貫通ペプチドを共有結合で二量体したペプチドを化学合成し、細胞膜上に添加することを試みる。期待される効果としては、(1)休止状態(単量体タンパク質状態)にある受容体を二量体へと変化させ、活性化状態を作り出す、(2)膜貫通領域の特異的相互作用を期待して、異なる膜貫通ペプチドを二量化させたペプチド(ヘテロ膜貫通ペプチド)が、異なる受容体タンパク質を会合させ、多様な生理活性を発現する、もしくは新規な生理機能を創生することが期待される。これらの状態で蛍光ラベルしたアゴニストやアンタゴニスト(例えばfMLPやBoc-FLFLF)を加え、細胞活性を評価することで、ライブセルでの機能性受容体の構造評価が可能となると期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度計画で好中球の活性評価のためルミノメータ購入を予定していた。しかし、今年度補助金の交付が2段階になり、全額交付まで半年以上を要することとなった。この間、研究を送らせることは出来なかったため、一部研究遂行の順序の変更を変更し、また、化学発光法以外の方法を用い好中球の活性測定を行った。以上の理由により、次年度使用の研究費が生じた。 次年度は、当初予定していた計画の一部を既に遂行しておりため、今年度の未実施計画と共に研究を行い、予定通りの研究を進める予定である。
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