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2011 年度 実施状況報告書

リポソームを駆使した脂質結合型蛋白質のシームレスな半合成と細胞表面ターゲット

研究課題

研究課題/領域番号 23550195
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

照屋 健太  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30372288)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードチオエステル / コレステロール / C末端修飾 / リポソーム
研究概要

先の補助金によりインテイン蛋白質との融合蛋白質を利用した蛋白質C末端の選択的な修飾系を構築し、C末端をコレステロール(Chol)で修飾したGFP(以下GFP-Chol)をN2a細胞膜表面に結合させることに成功した。一連の半合成経路では、以下の3個の条件設定が必要である。(1)縮合反応の際、疎水性部分を含むペプチドセグメントを可溶化するために界面活性剤が必須となるが、(2)蛋白質を変性させない条件で反応を行う必要があり、(3)縮合反応後に界面活性剤を除去する必要がある。残存する界面活性剤は生細胞にとって毒性が高いためである。本研究は条件間の整合性をとり、生細胞へ適用可能な細胞膜結合型蛋白質修飾体の調製法の開発を目的としている。本年度は、(3)の改善を目指した。一つはさらにタグ配列を導入したGFPチオエステルを調製し、Cholとの縮合を行った。タグを利用してカラム操作で洗浄を行った。合成産物を細胞に添加したが、時間の経過で細胞の溶解が観察され、カラム操作での洗浄では不十分であることが判明した。一方で、Cholの除去など一次的精製と濃縮に有効であり、(1)の改善策として有効であった。二つ目はリポソームを一連の調製過程に導入することであった。上の方法で洗浄したGFP-Cholを含む縮合反応液を、比較的Cholが豊富なリポソーム懸濁液に添加し、さらに遠心・洗浄するとGFPの結合が確認された。脱脂後分析すると、未反応のGFPは洗浄で除去され、Cholを介した結合が確認された。このリポソームを培養細胞に添加したが、条件によってはリポソーム間の凝集によって修飾GFPがうまく分散できなかった。以上より、分散しやすいリポソームの組成や添加する際の培養液の状態といった検討事項が残された。しかし蛋白質半合成系へのリポソームの導入で、蛋白質非変性状態で修飾体の分離と濃縮を簡便に行えることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の項において述べたとおり、リポソームを利用することによって蛋白質を変性させることなく選択的修飾体のみを簡便に抽出をおこなうルートが確立できた。本年度の大きな目標の一つは達成されたことになる。このことは一件の学会発表を行うことで公表した。実施の結果、リポソームの組成等の変更と最適化が必要であることが新たに判明したが、すでに試験系の準備は整っている。具体的には組成を変更したリポソームを調製する準備である。また、副次的に計画していたタグの利用であるが、この計画も独立して実施し、その結果、上記のリポソームの利用と併せてタグを利用することでより簡便に抽出・濃縮操作ができることが解った。次年度に使用を予定しているプリオン蛋白質の半合成に必要なチオエステル生成系についても整備をおえておる。この半合成に必要な合成ブロックの評価は分子量、抗原応答性に加え、モデル縮合系によるチオエステル構造の確認を以て行った。上記の試験を実施次第取り掛かることができる。以上のことから、おおむね予定通りの進展であると思われる。

今後の研究の推進方策

GFPを用いて得た知見(リポソームとタグの併用)をプリオン蛋白質での実験系へと利用する。プリオン蛋白質は金属結合部位をその内部配列に有しており、タグを導入しない場合においても、その金属結合部位を擬似的なタグとして利用することができるため、新たに導入する必要はない。しかしながらGFPの系とは異なり、目視での追跡が困難である。そのためリポソームへの結合評価は脱脂後、すべてウエスタンブロットで行う。半合成によってリポソーム上にプリオン蛋白質を結合させることが可能であることを確認次第、非感染細胞(N2a)でのアッセイを行い、リポソームから細胞膜上へと移行させることが可能であるか評価する。ここでの最適化が必要であればリポソームの組成の検討を行う。それと同時に昨年度作出した半合成GFPと細胞上での挙動の比較を行い、細胞への結合や、リポソームからの移行に蛋白質部分が影響を与えるかどうか観察し、考察を行う。

次年度の研究費の使用計画

研究費は主に消耗品に使用する。具体的には細胞培養に必要な血清やプラスチックウエア、プリオン蛋白質チオエステルを継続的に供給するための大腸菌培養のための消耗品や、リポソーム形成のための脂質、分析機器の消耗品等である。また、研究の進展に沿って学会等の発表を行うための旅費として利用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Site-specific isotope labeling of long RNA for structural and mechanistic studies.2012

    • 著者名/発表者名
      3. Kawahara I, Haruta K, Ashihara Y, Yamanaka D, Kuriyama M, Toki N, Kondo Y, Teruya K, Ishikawa J, Furuta H, Ikawa Y, Kojima C, Tanaka Y.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Research

      巻: 40 ページ: e7

    • DOI

      10.1093/nar/gkr951

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure-based design, synthesis, and evaluation of peptide-mimetic SARS 3CL protease inhibitors.2011

    • 著者名/発表者名
      Akaji K, Konno H, Mitsui H, Teruya K, Shimamoto Y, Hattori Y, Ozaki T, Kusunoki M, Sanjoh A.
    • 雑誌名

      J Med Chem.

      巻: 54 ページ: 7962-7973

    • DOI

      10.1021/jm200870n

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Binding and selectivity of the marine toxin neodysiherbaine A and its synthetic analogues to GluK1 and GluK2 kainate receptors.2011

    • 著者名/発表者名
      Unno M, Shinohara M, Takayama K, Tanaka H, Teruya K, Doh-ura K, Sakai R, Sasaki M, Ikeda-Saito M.
    • 雑誌名

      J Mol Biol.

      巻: 413 ページ: 667-683

    • DOI

      10.1016/j.jmb.2011.08.043

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of superior BACE1 cleavage sequences containing unnatural amino acids.2011

    • 著者名/発表者名
      Kakizawa T, Sanjoh A, Kobayashi A, Hattori Y, Teruya K, Akaji K.
    • 雑誌名

      Bioorg Med Chem.

      巻: 19 ページ: 2785-2789

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2011.03.056

    • 査読あり
  • [学会発表] Interactions of prion protein

    • 著者名/発表者名
      照屋健太
    • 学会等名
      大阪大学蛋白研セミナー ペプチド・蛋白質合成の未来像(招待講演)
    • 発表場所
      大阪府吹田市
    • 年月日
      2012年3月3日
  • [学会発表] Selective liposome binding of protein modified with hydrophobic compounds at the C-terminal

    • 著者名/発表者名
      Endo, Yurina; Hattori, Yasunao; Akaji, Kenichi; Teruya, Kenta
    • 学会等名
      第48回ペプチド討論会
    • 発表場所
      北海道札幌市
    • 年月日
      2011年9月27日

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公開日: 2013-07-10  

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