研究課題/領域番号 |
23550200
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
富崎 欣也 龍谷大学, 理工学部, 准教授 (90397026)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | フェリチン / ペプチド集合体 |
研究概要 |
近年、電子デバイス製造工程においてフォトリソグラフィー用光源波長の根本的な技術限界を迎えつつある。これまでに分子内部に酸化鉄コアを有するタンパク質であるフェリチンのシリコン基板上への二次元配列化と有機物除去後の金属粒子のデバイス機能が評価されているが、これら先行技術は従来同様リソグラフィーを必要とするなど更なる技術革新が求められる。そこで、本研究では、フェリチンを分子フラスコとして利用する種々の金属粒子合成法を検討し、ペプチドが自己組織的に線維状あるいは粒状のナノ集合体を形成する性質を利用して基板上にペプチド集合体を組織し、それらを鋳型として金属粒子を特定領域に精密配列化する一連のバイオナノプロセス開発を目的とする。 平成23年度は、9アミノ酸残基からなる短鎖ペプチドの設計、合成、円二色性スペクトルおよび赤外吸収スペクトル測定による二次構造評価、透過型電子顕微鏡によるペプチドナノ集合体の形態観察を行い、線維状および粒状集合体を形成する鋳型ペプチドの獲得に成功した。また、酸化鉄に代わりZnSe粒子を内包する再構築フェリチンを文献法により合成し、ペプチド集合体鋳型上に配置するためのハンドルとしてビオチンを結合したビオチン化ZnSeフェリチンの合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画では、鋳型となる線維状あるいは粒状集合体を形成するペプチドの獲得およびアポフェリチンのビオチン化の実施であった。本年度の研究実績として、鋳型となる線維状あるいは粒状集合体を形成するペプチドを獲得し、ZnSeフェリチンのビオチン化にも成功したことから、概ね順調に研究が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、前年度の研究成果を基に、最終目標である基板上へのフェリチンタンパク質の精密配置を達成するために、基板表面へのペプチド集合体鋳型の固定化と基板表面観察および種々の金属粒子をフェリチンに内包させ、種々のビオチン化再構築フェリチンを合成する方法の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に、ペプチドを精製するために不可欠な高速液体クロマトグラフ(HPLC)の設置を行った。また、龍谷大学には透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等の表面分析機器が既設である。従って、本年度は消耗品費および研究集会参加旅費として出費を予定している。
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