研究課題/領域番号 |
23550201
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60411576)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 光合成 / クロロフィル / フェオフィチン / 脱金属反応 / 光合成細菌 / 酸素発生型光合成生物 |
研究概要 |
クロロフィル類は光合成の主要色素であり、光機能性部位である環状テトラピロールの中心に主にマグネシウムを有する。クロロフィルからの中心金属の脱離反応(脱金属反応)は光合成反応中心の一次電子受容体の生成やクロロフィル分解過程において重要な反応であるにもかかわらず、機構解明が遅れている。そこで、多様な分子構造のクロロフィル類の脱金属反応に関する速度論的解析を行い、これまでは統合的に理解されていなかった脱金属反応特性とクロロフィル分子構造の相関解明を目指した研究を推進した。 平成23年度は主に、光合成生物から単離精製した天然クロロフィル類や有機化学的に構造改変した合成クロロフィル類の脱金属反応を弱酸性条件下で誘起し、反応特性を解析した。その結果、クロロフィル環に直結した置換基の物理化学的特性と脱金属反応特性に相関があることを明らかにした。また、クロロフィル類の脱金属反応特性は環状テトラピロール骨格にも大きな影響を受けることを見出しつつある。これらの研究成果は査読付論文1報、学会発表4件で発表しているとともに、現在、査読付学術論文1報と英文総説1報を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では平成23年度は、天然クロロフィル類と合成クロロフィル類の脱金属反応の精密解析を計画しており、今年度は実際にそれらに関する研究を順調に遂行した。得られた結果から天然クロロフィル類の脱金属反応特性に対するクロロフィル分子構造の影響を明らかにすることができ、これらの研究成果を研究実績の概要の欄で記載したように論文と学会発表で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究の遂行状況がおおむね順調であることから、今後も当初の計画どおりに推進する方針である。すなわち、平成24年度はクロロフィル類などの環状テトラピロール分子の環構造をはじめとした分子構造が脱金属反応特性に与える影響を系統的に解明するための研究を推進する予定である。平成25年度はクロロフィルの脱金属反応によって誘起される光合成超分子の分解の動的挙動を解明する研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、研究遂行に必要な薬品、ガラス器具類などの消耗品費と研究成果発表のための旅費に使用する予定である。
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