研究課題/領域番号 |
23550201
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60411576)
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キーワード | 光合成 / クロロフィル / フェオフィチン / 脱金属反応 |
研究概要 |
高効率の太陽光エネルギー変換を実現している光合成において、クロロフィル色素は重要な役割を果たしている。光合成で機能するクロロフィル色素は環状テトラピロール部位の中心に金属が配位した構造である。この中心金属の脱離反応(脱金属反応)は光化学系2タイプの光合成反応中心の一次電子受容体の生成やクロロフィル分解の初期過程における重要な反応であるにもかかわらず、それらのメカニズムの解明は遅れているのが現状である。そこで、クロロフィル色素の脱金属反応の精密な速度論的解析から、クロロフィル類の脱金属反応特性とクロロフィル分子構造の相関を解明することをねらいとした研究を推進した。平成24年度は主に、天然クロロフィルから周辺官能基を変換した半天然クロロフィル誘導体や合成亜鉛クロロフィル誘導体を対象とした脱金属反応の速度論的解析を実施した。その結果、クロロフィル類の脱金属反応特性は環状テトラピロール部位に直結した置換基に主に影響を受け、その効果は置換基の電子吸引性・電子供与性の強さと相関があることを明らかにした。 これらの研究成果は査読付学術論文4報、研究解説1報で発表しているとともに、現在、査読付原著論文1報を投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、主に半天然クロロフィル誘導体や合成亜鉛クロロフィル誘導体を対象とした脱金属反応解析を当初の計画通りに順調に遂行できたと考える。得られた結果から、クロロフィル類の脱金属反応特性に対する環周辺の置換基や環構造の影響を系統的に明らかにすることができ、これらの成果を査読付論文、研究解説、学会発表で報告することができたことから、達成度をこのように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究の遂行状況がおおむね順調であることから、来年度も当初の計画通りに推進する方針である。すなわち、平成25年度はクロロフィル脱金属反応によって誘起される光合成色素集積超分子の分解挙動を解明するための研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、研究遂行に必要な薬品、ガラス器具類などの消耗品費と研究成果発表に必要な旅費などに使用する予定である。
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