研究課題
①有機導電性分子からなる分子性ナノコイルの構築これまでに行ってきた分子集合体ナノワイヤに関する知見から、分子性導体に「かさ高いキラル分子」と「水素結合部位」を導入することで、非対称な側鎖を付与した分子を合成した。分子の両端に異なる相互作用を有する部位を導入することで、螺旋構造を形成すると考えられる。更に、アクセプターと組み合わせることまた、コイルの外側に、フェロセン分子を結合させることで、直線構造からコイル構造へと変化する「形状記憶コイル」を作成した。このような現象を利用することで、分子1個が変化し、コイル全体が伸縮するため、アクチュエーターとしても応用できると考えた。②分子性ナノコイルの電気物性価ナノデバイスを作成するには、ナノオーダーでの分子集合化に適した環境を整えることが必須であると考えた。導電性AFMを用いた電気物性評価は、カーボンナノチューブやDNA など比較的硬い材料については報告され始めているが、分子集合体ナノワイヤのような柔らかい材料の報告例は皆無であった。しかし、近年、PCI-AFM(Point Contuct-Current Imaging AFM)を用いることにより、試料表面にダメージを与えることなく、タッピングモードで形状像と電流像の同時測定が可能となった。本研究ではこの測定法を用いてナノワイヤ1本の電気物性を評価した。具体的なナノシステムの作製を視野に入れた時、ナノワイヤ1本の電気物性やコイル構造の電気・磁気物性を明らかにする必要がある。作製した分子性コイルについて、螺旋回転数やピッチを変え、それに伴う機能性の変化を確認した。ピッチの幅を制御することで「形状記憶コイル」を、回転数を制御することで磁場強度が変化する「電磁気コイル」を作成した。
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