研究課題/領域番号 |
23550209
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
景山 弘 琉球大学, 工学部, 准教授 (50294038)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 金属酸化物 / 界面制御 / 有機エレクトロニクスデバイス / 有機薄膜太陽電池 / 有機エレクトロルミネッセンス素子 |
研究概要 |
金属酸化物が関与する有機薄膜 / 金属界面における化学反応・物理現象の解明、ならびに、有機発光ダイオードや有機薄膜太陽電池などの有機エレクトロニクスデバイスの高性能化の観点から、本年度は、金属酸化物としてMoO3を用いた有機薄膜 / 陰極界面における物理現象の解明とその現象を利用した有機薄膜太陽電池の性能向上の可能性を検討し、以下の知見を得た。(1) LiF/MoO3/Alを積層した有機薄膜の発光特性が、LiF/Alを積層した有機薄膜の発光特性に比べて高いことを明らかにし、MoO3の存在により、有機薄膜 / 電極界面において励起子の失活が抑制されることを示した。(2) LiF上にAlを蒸着すると、LiFとAlの化学反応によりLi原子が生成し、生成したLi原子が有機化合物にドープされ励起子失活サイトとなるラジカルアニオン種が生成するが、MoO3の存在によりLi原子の生成が抑制され、その結果として有機薄膜 / 電極界面における励起子失活が抑制されることを明らかにした。(3) LiF/MoO3/Al電極を陰極として用いる有機薄膜太陽電池は、MoO3を用いないLiF/Al陰極を用いる素子に比べて、エネルギー変換効率が向上することを明らかにした。(4) 有機薄膜 / 金属界面における化学反応・物理現象について新しい知見を得るとともに、有機薄膜太陽電池の性能を向上させるための新しい方法論を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、有機薄膜 / 陰極界面における化学反応・物理現象について新しい知見を得たとともに、得られた知見に基づいて有機薄膜太陽電池の性能向上を達成し、有機薄膜太陽電池の性能を向上させるための新しい方法論を提示したことから、本課題は、現在まで、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は、主に二層型有機薄膜太陽電池について検討した。平成24年度は、混合層を有するp-i-n型構造やバルクヘテロ接合型構造を有する有機薄膜太陽電池にLiF/MoO3/Al陰極を用いることにより、金属酸化物を用いる太陽電池特性向上の可能性を検討する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子に対してLiF/MoO3/Al陰極を適用し、同じく素子性能向上の可能性を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、有機薄膜太陽電池・有機電界発光素子用の有機材料、Al、MoO3、LiFなどの陰極材料、Wボートなどの蒸着源などの購入に充てる予定である。
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