真に優れた導電性ポリマーの開発は、効率的なエネルギー変換デバイスや高性能な蓄電デバイスの実現を導く。本研究では、開発したレドックス機能と導電性を併せもつ根本的に新しい導電性ポリマー(ポリチエン)を、リチウムイオン電池・キャパシタ用の電極材として利用することにより、大容量蓄電デバイスの実現を目指す。今年度は、ポリチエンの製造法の改良を行い、耐熱性や機械的性質などに優れるポリチエンの新合成法を確立した。また、これに伴い固体ポリチエンフィルムの電子伝導性も実証することができた。改質ポリチエンをリチウムイオン電池の正極活物質に用いることによって、充放電容量、繰り返しサイクル特性とも目標値を達成した。さらに、ポリチエンの高効率合成法の開発について検討を行った。二硫化炭素を電解還元重合することにより二硫化炭素ポリマーを得ることができ、これをホスフィン処理することによってもポリチエンへ変換することができる。この二段階反応を利用することによって、ポリチエンを大量合成できると期待される。
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