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2012 年度 実施状況報告書

フルオロアルキル鎖を特徴とするフラーレンGeminiによる導電性薄膜の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23550216
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

川瀬 徳三  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60152956)

キーワードフラーレン / フルオロアルキル鎖 / Gemini / 単分子膜
研究概要

本研究の主眼は,フラーレン分子を凹凸のない配列制御された単分子膜を作成することである。平成23年度は,剛直なフルオロアルキル鎖[-(CF2)n-]を疎水鎖とするアジリジノフラーレンおよび2鎖型構造(Gemini型)界面材料の合成ルートを開発することに成功した。平成24年度は,継続してGemini型アジリジノフラーレン材料の開発を行った。特に、出発物質について再検討を行い、キーとなるフルオロアルキル鎖ブロックとしてHOCH2-(CF2)x-COOR(x=10、Rはグリコール鎖)を新規開発し、末端水酸基をクロロホルメート基に変換し,これとアジリジノフラーレンおよびピロリジノフラーレンを反応させることにより、フルオロアルキル単鎖のC60界面材料を合成する新しいルートを開拓した。これにより、従来課題であった収率の大幅な向上が達成された。一方、2鎖4親水基型アジリジノフラーレンGeminiについては収率改善には至っていない。
平成24年度は,水面上に展開単分子膜を形成させて、フルオロアルキル鎖およびGemini構造による配列制御効果を検討した。炭化水素鎖によるGemini構造について検討した結果、単分子膜形成にスペーサー鎖長の影響があることが判明しており、この知見を基にフルオロアルキル鎖によるGeminiについても、フラーレンの配列制御(凹凸のないフラーレン分子の平面形成)に注力して最適化を検討する予定である。さらに、フルオロアルキル鎖のフラーレン膜をLB膜法によりガラス基板上に写し取り,FT-IR用MAIR, pMAIR測定システムを用いて,薄膜におけるフラーレン単分子膜の配向状態の解析を試みたが、まだ明確な成果にはつながっていない。このLB薄膜について,接触角測定を基とした表面自由エネルギー分析を行い,定量的な立場からフルオロアルキル鎖長の疎水性への影響が明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、長鎖のフルオロアルキル鎖を疎水性スペーサーとするアジリジノフラーレンについて新たな合成ルートの開発に成功した。この方法により、他のフラーレン類(ピロリジノフラーレンなど)の合成にも道が開けた事になり、今後期待できる。このルートは2鎖4親水基型アジリジノフラーレンGeminiにも適応可能と考えているが、残念ながら収率改善にはさらなる検討が必要である。単分子膜形成は予定通り順調に進んでいる。単分子膜におけるフラーレンの配向状態の解析に着手できたものの、有益な成果にはまだ到達できていない。

今後の研究の推進方策

平成25年度も、アジリジノフラーレン界面材料、特にGemini型について、開発を継続する。さらに、LB法によりフラーレンGeminiの展開単分子膜をガラス基板上に写し取り,薄膜におけるフラーレン単分子膜の配向状態を解析する。また、汎用ポリマーの薄膜をベース層とするキャスト膜法についても検討を始める。これらの成果を基に、フラーレンの単分子膜を活用したナノレベルオーダーでの表面薄膜の電子デバイスなどへの実用展開の可能性を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は薬品等の消耗品費として支出したが、残額として127円が繰り越される。平成25年度は平成24年度の残額127円も合わせて、研究計画の遂行に必要な薬品・器具等の消耗品費ならびに、これまでの研究成果発表のための論文費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 両親媒性アジリジノフラーレン誘導体の合成とその膜形成挙動2013

    • 著者名/発表者名
      川瀬徳三、石田夕香、今津亜理沙、老田達生、南方聖司、寉岡亮治
    • 雑誌名

      材料技術

      巻: Vol. 31、 No.1 ページ: 1-11

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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